FC東京の注目の17歳MF久保建英が、自身初の2試合連続ゴールを決めた。

札幌戦で1-0の後半24分、GKの左腕をはじき飛ばす強烈なシュートで追加点を奪った。17歳11カ月14日での2戦連発は、04年森本貴幸(現J2福岡)の16歳5カ月30日に次ぐ史上2位の年少記録で、開幕からのチーム12戦連続無敗と首位キープに貢献。6月開幕の南米選手権(ブラジル)で初のA代表入りが見込まれる久保建が、覚醒モードに入った。

ゴールへの道筋が、久保建には見えていた。後半24分、東京のカウンター。右サイドにやや開きながら敵陣深くでボールを受けると、ペナルティーエリア内へ。軽いタッチで左足の外側にボールを運ぶと、DF福森が右足を出してきたタイミングで左足を一振。股下を抜いた鋭いボールはGKク・ソンユンの左手を弾きとばし、ネットを揺らした。「相手が足を出してきたら股下を狙ってと思っていた。決めなきゃいけない場面だったので、ボールを自分のいいところに置いて蹴ったという感じです」。技と力が融合した2戦連続弾。FWディエゴ・オリヴェイラに勢いよく飛びつくと、左手を高々と突き上げた。

授かった才能に溺れることはない。注目度が増し、周囲が騒がしくなろうが、信念は揺るがない。「どんな練習をしているかは言えないけど、人一倍シュート練習はしていて、レパートリーはたくさん持っているつもりです」。あらゆる状況を想定しながら、得点を奪える“自分の形”を作り上げる作業は怠らない。

練習はうそをつかなかった。攻勢を仕掛ける札幌を突き放すための追加点がほしい状況でも自然と体が動いた。「イメージではキーパーは全然見ていなくて、自分がいつも練習でやっている形に持っていくことだけを意識しました」。久保建のすごさは、イメージ通りのプレーを体現できる高い技術だけでない。相手の動きを瞬時に把握し予測できる冷静さとGKのセーブにも負けない力強い弾道で、札幌にとどめを刺した。

後半35分、大歓声を背にベンチへ退いた。「試合を通して疲労感はまったくない。コンディションも悪くないかなと思います」と時間帯不問で安定したプレーを続け、開幕から12戦連続無敗での首位固めに貢献。「必死に粘って、こぼれたボールを自分たちが先に触れるようにとか、そういうボールはあまり無駄にしたくないなとはいつも思っています」と、5試合連続無失点と奮闘した守備陣にも応えた。

24日発表の南米選手権のメンバーに名を連ねる見込み。A代表デビューの期待に応えるだけの心・技・体が、備わってきた。【浜本卓也】