北海道コンサドーレ札幌がサガン鳥栖を3-1で下し、勝ち点27で5位に浮上した。

前半19分、MFルーカス・フェルナンデス(25)の右CKからDF石川直樹(33)が3季ぶりゴールを決め先制。同31分には再びCKからFWジェイ(37)が今季1号。2-1の後半39分にFW鈴木武蔵(25)が2戦連発となる3点目を入れた。開幕から不動の3バック左を務めたDF福森晃斗(26)が今季リーグ戦初欠場も、チームで勝ちきる強さを見せた。

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石川が跳んで、叫んで、喜んだ。「朝起きた時に試合がなくなるんじゃないかと思った」と言うほどの強い雨が降る悪条件。チャンスは前半19分に訪れた。キッカーのMFルーカスから放たれた右CKを、ファーサイドの石川が左足を伸ばしゴール右へ押し込んだ。自身にとっては仙台時代の16年以来、17年の札幌復帰後では初の得点だ。「ルーカスからいいボールが来た。合わせるだけだった」と振り返った。

セットプレーから生まれた先制点は、ピンチヒッターが立役者だった。福森が前節川崎F戦で右足甲を痛め、出場を回避。開幕から全試合フル出場で3バック左でプレーしたキッカーがいない。出場停止明けのルーカスが前日練習から準備し、代役を全うした。石川は日本代表遠征中のFW菅に代わって前節から左サイドハーフに入っていたが、急きょ本職のDFラインに加わることになった。2アシストのルーカスは「今日はモチベーションが高かった。チーム一丸となっていいプレーができ、いい結果を残せた」。主力の不在もカバーし勝利につなげた。

チームにケガ人が絶えず、離脱者なしの試合がない。石川も右太もも裏負傷で3月から1カ月以上戦列を離れていた。慢性的な左膝痛とも闘っている。だからこそ練習に参加すれば、手抜きは許せない。ミニゲーム中には若手に「声を出せよ」と叱り、プレーに対してチームメートと意見をぶつけ合う姿はチームを活気づける。「ベテランが活躍することで若手に刺激を与えられたら」と全力プレーでチームを鼓舞する。ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)も「勝利をもぎ取ってくれた選手を褒めたい」と評価した。

「今日はフク(福森)が出られずチャンスをもらったけど、結果を出すことで出場時間が増える。自分をもっとアピールしていきたい」と、石川の負けん気は底知れない。どんなピンチも乗り切れる自信が、今の札幌にはある。【保坂果那】