14日の天皇杯3回戦でJ2のファジアーノ岡山に延長戦の末に逆転勝ちした川崎フロンターレが、台風10号の影響を受けながらも15日、神奈川・川崎市内に戻り17日のアウェー・ベガルタ仙台戦に向け調整を行った。

試合もヒヤヒヤな展開だったが、帰路もヒヤヒヤだった。JRは14日、15日の山陽新幹線の新大阪-小倉間運行を終日見合わせると発表。当初は試合後、岡山に宿泊し新幹線で帰京する予定だったが、この日の運休が決まったため、試合後に新大阪に新幹線で移動し、大阪に宿泊して帰郷するスケジュールに変更した。新幹線の指定席は完売だったため、自由席だった。

試合は午後7時開始。試合は0-1で迎えた後半ロスタイム、川崎FはFWレアンドロ・ダミアンのゴールで土壇場に同点に追いつき、延長戦へ。最後はMF家長昭博のPK弾で勝利を収めた。120分の熱戦後、選手たちは新大阪行きの新幹線に乗るため、すぐに着替えて岡山駅へ直行。最終の1本前の新幹線に飛び乗ることができた。しかし、自由席も指定席も満席。120分戦い、疲れ果てていた上に、約50分間、デッキに立ち移動したという。もし、PK戦までもつれていたら、最終の新幹線に間に合わず、バスで新大阪まで移動した可能性もあった。

FW小林悠は「バス移動になっていたら余計きつかったと思う。新幹線は立ちながらでしたけど、勝ったので。負けたらもっときつかったと思う」。DF山村和也は「高校時代、遠征で足首のけがをして、ちょうどお盆の時期で、石川から長崎まで1人で立って帰ったのを思い出しました。足が腫れてたけど立つしかなくて」と国見高校時代に思いをはせた。

鬼木達監督は、試合後にクールダウンをする間もなく駅に向かったことことを明かし「疲れはありますが、いい形で笑顔で帰ってこられたのは大きく違うと思う」と振り返った。リーグ戦では3戦未勝利。岡山戦では、フリーキックでの得点が認められない場面もあった中での逆転だった。指揮官は「立ち上がりの失点」に反省を上げながらも「判定にもめげず、最後までゴールを狙い続けて、粘り強く戦ったのは自分たちの強み。それが出せたのは大きい」と話す。次は中2日での仙台戦。移動など疲労と負荷は大きいが、鬼木監督は「難しいゲームにはなるが、自分たちの底力を信じたい」と、天皇杯での勝利を次節につなげる覚悟だ。【岩田千代巳】