ベガルタ仙台MF松下佳貴(25)が古巣ヴィッセル神戸のピッチで恩返しを誓う。「プロとしてスタートしたチームなので、他の相手よりも気合が入る。だからこそ仙台でパスや守備の球際の部分で成長した姿を見せたい」。チームは29日、仙台市内で11月2日のアウェー戦に向けて非公開練習(冒頭のみ公開)を行った。

元スペイン代表MFイニエスタ、FWビジャら豪華メンバーが所属する神戸で、特別指定選手時代から約3年半プレーした。公式戦66試合に出場も昨季はほとんど出番がなく苦しんだ。仙台加入後初の古巣戦に「全員に気をつけないといけないが、外国人選手の個の能力がすさまじい。個ではなく組織で戦いたい。ボールを握られる時間が増えると思うので、我慢するのが重要」と気を引き締める。

2010年のW杯南アフリカ大会決勝でイニエスタが延長後半に劇的ゴール。スペインを初優勝に導いた。その姿を一ファンとしてテレビで見ていて、8年後は同僚に。同時にピッチに立ったのは1度だけだが「異次元。簡単にまねできない選手で、刺激になるというか『すごい』という感じ。味方だと頼もしかったけど、敵になると一番怖い」とリスペクトする。

4人兄弟の末っ子で松山工(愛媛)から阪南大(大阪)に進学。兄3人は同校から就職し、同じ道を歩むつもりだった。しかし、大会を偶然視察した同大監督から声を掛けられ、気づいたら入学する流れに。そして大学3年の14年度には関西学生リーグ年間最優秀選手に選出、15年のユニバーシアードでは日本代表で銅メダルに貢献した。大学サッカーを代表する選手に成長し、16年に神戸に入団。運命を変えた関西の地で仙台をアウェー3連勝へと導く。【山田愛斗】