首位の柏レイソルがFC町田ゼルビアに3-0で勝ち、1試合を残してJ2優勝と1年でのJ1復帰を決めた。5年ぶりにネルシーニョ氏(69)を監督に招いた今年は序盤こそ苦しんだものの、夏の積極補強なども実を結び、シーズン中盤以降は無類の強さを発揮。7月31日の第25節からは1度も首位を譲らず、頂点まで駆け上がった。2年ぶりのJ1の舞台となる来年は11年の昇格即優勝の再現を狙う。

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柏が宣言通り1年でのJ1昇格を果たした。試合終了の笛が鳴ると選手からは笑みがこぼれたが、ガッツポーズなどは控えめ。勝負の舞台となるJ1を見据え、冷静にその時を迎えた。

この試合で決める。序盤からその思いを結果につなげた。前半2分に先制し、直後の5分にも追加点。ネルシーニョ監督は「残り試合のある状況で優勝を決めると選手にも伝えて準備してきた」。後半14分に2点目を決めたFWクリスティアーノが再びネットを揺らし、優勝を果たした。

9年ぶりのJ2に想像以上に苦しんだ。10年は2位に勝ち点10差をつけて独走で優勝。しかし、今年は第8節から5戦未勝利など停滞時期があり、初めて首位に立ったのは第25節から。指揮官は「J2も進化してきているなという印象を感じた。リーグが底上げされてきた」と苦戦を認めた。

それでも1年で昇格したのはフロントとチームの一体感だった。今季は第1次ネルシーニョ体制でコーチだった布部ゼネラルマネジャーがアウェー戦も全て同行するなど、常にチーム状態を把握。指揮官と毎日意見交換し、今夏に獲得したFWマテウス・サヴィオやDF山下らが主力となった。補強時期と相前後して11連勝して首位に定着した。

指揮官と同じブラジル人選手を多く加入させたことで競争も激化。攻撃の核となるMF江坂や瀬川ら日本人も複数ポジションで起用されるなど、最適解が見つかるまで試行錯誤を繰り返した。江坂は「これでJ1でやれるのかという思いを常に持ちながらやっていた」。高い意識でJ2を戦い、日本人と外国人が高次元で融合したことで簡単に崩れないチームになった。

8年前に復帰したJ1では昇格1年目で優勝し、3年連続のタイトル獲得など栄光の時期を過ごした。当時を知るMF大谷は「優勝は簡単ではないけど、期待してくれているサポーターのためにも1試合1試合戦っていきたい」と誓った。柏が来年、J1に帰ってくる。【松尾幸之介】

▽柏が最多得点、最少失点でJ2優勝を決めた。最多72ゴールを挙げたが、得点者数は意外に少なく11人だけ。これは今季のJ2では岡山の10人に次ぐ少なさだった。その一方で、2桁得点は19得点のFWオルンガを筆頭にリーグ最多3人。攻撃陣は16得点のFWクリスティアーノ、11得点のMF江坂、7得点のFW瀬川と主軸を担った選手が試合を重ねながら連係を深めていった。守備は日本代表GK中村が大活躍。チーム最多40試合に出場し、枠内シュートに対するセーブ率はリーグ最高の77%を誇った。