首位の横浜F・マリノスが川崎Fに4-1で快勝し、10戦負けなしの6連勝で04年以来15年ぶりの優勝へ大きく前進した。

前半8分にFW仲川輝人(27)が得点ランクトップタイに並ぶ今季15点目で先制。2-0の後半24分にはFWエリキのゴールをアシストするなど、1得点1アシストの活躍で勝利に貢献した。2位FC東京との直接対決となる12月7日の最終節で引き分け以上か、敗れても3点差以内なら優勝が決まる。

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昨季王者が相手でも、今の横浜に怖いものはなかった。満員に埋まった敵地の歓声を仲川が早々にかき消した。前半8分、左サイドでFWマテウスがドリブルで相手DFを引きはがし、鋭いクロスをゴール前へ。攻め込んだサイドの逆に必ず誰かが入るというチームの約束通りにファーで待ち構える。同い年で大学時代にもしのぎを削った相手DF車屋の足をかすめたボールは、吸い寄せられるように仲川の体に当たってネットに吸い込まれた。

これで3試合連続、出場試合に限ると5戦連発となるゴール。大学3年だった13年の最終節では横浜が同カードで敗れてV逸。その様子を等々力陸上競技場のスタンドで見ていた。6年の時を経て、同じピッチでゴールを奪ったが、喜びは控えめだった。「いろんな思いがありました」。高校時代まで下部組織で過ごした古巣川崎Fに配慮し、両手を広げて駆け寄るチームメートをいさめた。

好調の要因には、好結果からくる自信がある。自身の状態について「いいゾーンに入っている」と表現する。「ドリブルしても相手がゆっくり見えるし、イメージ通りにできている。全部感覚通り」。161センチの小さな体で得点を量産し、ついに15得点で得点ランクトップを走っていたチームメートのマルコス・ジュニオールをとらえた。

チームはその後も得点を重ね、16年から3連敗中の鬼門、等々力で4得点と大勝。ここ10戦負けなしと夏場以降は安定感抜群の強さで優勝に大きく近づいた。2位東京と直接対決する最終節はホーム日産スタジアム。すでにチケットは完売している。サポーターの後押しを受けられる上に、敗れても3点差以内なら戴冠と圧倒的優位な状況だ。仲川は「重圧なく楽しくやれているし、今が人生最高の状態。次も攻めに攻め倒していく。勝ってみんなと喜び合いたい」。覚悟をにじませ、最終決戦に臨む。【松尾幸之介】

◆横浜対東京 過去のJ1リーグ戦の通算対戦成績は東京が17勝8分け12敗と勝ち越している。昨季からは東京が5-2、1-0、4-2と3連勝中。東京が逆転優勝するためには4点差以上の勝利が必要だが、過去の37試合で東京の4点差勝ちは1度。05年7月17日にホームの味スタで4-0で勝っている。