全国高校サッカー選手権は30日、東京・駒沢陸上競技場で開会式と1回戦1試合が行われた。前回大会8強の帝京長岡(新潟)は来年1月2日の初戦2回戦で熊本国府とニッパツ三ツ沢球技場(神奈川)で対戦する。九州の学校との対戦は過去3戦3勝と100%の勝率を残すが、会場が神奈川県内のゲームは過去4戦4敗と相性が悪い。日本一を狙う帝京長岡はパワーを全開し、初戦を突破する。

冷たい小雨が降り続いても、選手たちの内面は雨を振り払うほどの熱さだった。駒沢陸上競技で開かれた開会式。校旗を持って入場行進を先導した主将のMF谷内田哲平(3年)は「いよいよ始まる。そういう気持ち。しっかり戦いたい」と言った。24日に終業式を終えると、チームは25日から福島・Jヴィレッジで最終調整。29日午前も練習して、同日夜に神奈川県内の宿舎に入って、開会式に臨んだ。

来年1月2日の初戦2回戦で対戦するのは熊本国府。試合会場はニッパツ三ツ沢球技場(神奈川県横浜市)。帝京長岡は初戦で相反する2つの“相性”の一方を帳消しを図る。というのは全国高校選手権で「九州勢には不敗」という相性の良さを見せるが、「神奈川県の試合会場では未勝利」という、ありがたくないジンクスが存在する。今回、ニッパツで熊本国府に勝って「不敗神話」だけをチームの財産にするつもりだ。

九州勢とは過去3度戦って3勝。8強入りした12年度は2回戦で中津東(大分)に3-0、同3回戦で鹿児島城西に4-1。同じくべスト8に入った18年度は3回戦で長崎総合科学大付に2-1で勝利している。九州勢に勝った年度はともに8強と「験」もいい。

ところが神奈川県の会場の試合では4戦未勝利。初出場の00年度は初戦の2回戦で星稜(石川)と等々力陸上競技場(神奈川県川崎市)で戦い、2-2のPK負け。12年度はニッパツの準々決勝で京都橘に1-2で負けた。13年度は1回戦で徳島市立に等々力で1-1のPKで敗退。18年度の準々決勝も会場は等々力で尚志(福島)に0-1で敗れ、初の4強入りを逃した。

だからこそ選手たちは初戦から爆発する。FW晴山岬(3年)は「前回大会は初戦(対高知西、6-0)でいい形で勝って8強までいった。だから初戦は大事」と言う。谷内田も「初戦に勝てば勢いに乗る」。帝京長岡は初戦2回戦で不敗神話を続行させて、未勝利記録を払拭(ふっしょく)する。【涌井幹雄】