神戸弘陵(兵庫)が3-2と秋田商に鮮やかな逆転勝ちを収めて2回戦に進んだ。前半に逆転を許しながら、後半は主将のMF沖吉大夢(3年)とMF田中祉同(1年)の連続ゴールで逆転に成功。

Jリーグ神戸の天皇杯と神戸弘陵の高校選手権で、ともに悲願の初優勝を目指す。草津東(滋賀)は4-2で東久留米総合(東京A)を破り、5大会ぶりの初戦突破を果たした。

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強烈な追い風の中で芸術的な直接FKが決まった。神戸弘陵の主将MF沖吉は「強風だったので、力みすぎずに風に乗せる感覚で打った。狙い通りでした」と喜んだ。1点を追う後半11分。秋田商の一発退場で得たFKを「絶対に自信があった」と仲間に譲らず、右足で軽めに蹴った。球はグングン伸びて左隅に決まった。10人の相手に、その4分後に勝ち越した。

「負けたら終わりの試合で選手が勇気を持って戦ってくれた。沖吉もよくFKを決めてくれた」と就任15年目の谷純一監督(46)。風下だった前半は、先制しながらミスも絡んで逆転を許した。沖吉は「だから風上に立つ後半は焦りはなかった。未知の緊張感の中でしっかり勝てた」と充実感を漂わせた。

前半9分にFW吉田翔の負傷で出番がきた徳弘は、同23分に右足で先制点を決めた。「こぼれ球を狙っていた。自分でもびっくりのゴール」。交代枠を早々に使うアクシデントも、2年生FWがラッキーボーイになった。

Jリーグ神戸が同じ関東圏の天皇杯で初タイトルに王手を懸けている。神戸ジュニアユース出身の沖吉が中心となり、今冬は神戸弘陵とのダブル優勝の話題が増えた。「これで元日に神戸が優勝して、さらに2日は僕らが(明秀学園日立)に勝つ」と沖吉。徳弘も「神戸はうまい選手が多く、パスワークは見ていて参考になる」と相乗効果を期待する。

元日は入場券が確保できずに国立での観戦は見送る方向だが、練習時間を変更してテレビの前で神戸を応援する。過去ベスト8が最高の神戸弘陵が、悲願の日本一へ好発進した。【横田和幸】

○…秋田商はシーソーゲームで屈して2年連続初戦突破はならなかった。先制される苦しい展開から一時逆転したが、後半に退場者を出し、試合をひっくり返された。DF松野は「後半は雰囲気にのまれ、自分がビシッと締められなかった。走る秋田商のサッカーをできたので後悔はない」。先発した6人が1、2年生。後輩に思いを託した。