J2アルビレックス新潟の新監督、アルベルト・プッチ・オルトネダ氏(51)が10日、新潟市で会見を行った。新潟のスタイルの精度アップなどを掲げ、目標は「心の中に持っておく」と、J1昇格を重要な使命として胸に秘めた。

チームは13日に初練習を行い、15日にキャンプ地の高知に入る。Jリーグがホーム開幕カード発表。開幕は2月23日、J3から昇格したザスパクサツ群馬と正田醤油スタジアムで対戦。ホーム開幕は3月7日、第3節千葉戦(デンカS)となった。

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言葉には出さなかった。それがかえって覚悟を伺わせた。アルベルト監督は今季の目標を問われると「常に上位を目指す」と答え、「順位の目標はあるが、口には出さないで心の中に持っておきます」と笑った。20人以上の報道陣に向けて「ここにいる皆さんと同じ目標をみていると思います」と、にやり。新潟は昨季10位だった。J2で過ごす3年目の今季J1昇格は悲願。そのために着実に前進することが必要。あえて胸にしまい込むことで、自らに与えられた使命の重要さを示した。

9日にバルセロナを出発し、この日の午後2時49分JR新潟着の上越新幹線で新潟入りした。「会見は初めてです」と言いながらも、手ぶりまじえた熱弁で約35分間、質問に答えた。その中で強調したのが「目の前の試合、1回の練習、1歩1歩がすごく大事。日々の練習を勝ち取ること」。スペイン・バルセロナの育成部門スタッフとして10年以上過ごした。華麗にパスをつなぐスタイルが成熟する過程を見てきた。「花にたとえると、毎日、水をあげることで少しずつ成長する」。根気よくチームを成長させることが結果につながる確信がある。

新潟の試合映像は「5、6カ月前から見ていた」と言う。昨季、終盤10試合は6勝2分け2敗と好成績で終えた。ハードワークをベースにした新潟らしさが見られた。「(昨季のスタイルに)足したい。ボールをより自分たちのものにし、守備と攻撃のバランスを取るようにしたい」との意向を明らかにした。玉乃淳GM(35)と連絡を取りながら戦力を整えてきた。「選手みんなを息子のように愛します。何かあれば守る。その代わりいろいろなことを注文する」と選手への信頼をあらわにした。

昨年、新潟からオファーを受けると是永大輔社長(42)が、当時在住していたニューヨークに直接やってきた。2日間話して決断した。「社長を含め、リスペクトできるクラブ」。新潟は初めてだが「妻と娘と一緒に生活したい」とさっそく気に入った様子。「このクラブのファンの素晴らしさは聞いている」。自信と新天地での楽しみを抱えながら、新潟を導いていく。【斎藤慎一郎】

◆アルベルト・プッチ・オルトネダ 1968年4月15日生まれ、スペイン出身。84年にトゥーロU-14のコーチで指導者の道に。03年から14年までバルセロナのスカウト、アカデミーコーチ、アカデミーダイレクターを歴任。この間に久保建英(18、マジョルカ)を発掘した。18-19年は米国MLSニューヨーク・シティーのヘッドコーチを務めた。新潟監督はキャリア初のトップチーム監督。