Jリーグ再開後初めて観客を入れた試合が、J2ファジアーノ岡山-ギラヴァンツ北九州のカードで実施された。再開後2戦を無観客で戦ってきた両軍は、サポーターの温かい拍手で出迎えられ、無事にキックオフ。

新型コロナウイルス感染防止のための厳しい規制の中、2294人の観客から熱気が届けられた。試合は北九州が2-0で完勝した。11日はJ1、J2、J3で本格的な有観客試合が始まる。

 

   ◇    ◇    ◇

サポーターの目の前にJリーグが帰ってきた。本拠地Cスタで完敗した岡山の選手に、惜しみない拍手が送られた。有馬監督は「Jリーグで初めてサポーターと一緒に戦える最初の試合。ともに戦う仲間がいると感じた。改めて一緒に喜び合いたいと思った」と、背中を押してくれたサポーターに感謝した。

前半21分、岡山FW清水の空中ボレーが空を切っても拍手、ミスが出ても奮起を促す拍手。時間の経過とともに大きな声援までとんだ。2月の開幕戦以来、約5カ月ぶりの有観客試合は盛り上がった。

岡山の北川真也社長は「ウオーミングアップ中に拍手が起きて、私は鳥肌がたった。選手はそれ以上に思っている。観客にも楽しんでもらえたのでは」と総括した。職員約30人が中心となり運営にあたった。

再開後2試合は無観客で開催され、Jリーグのガイドラインでは、この日から月末までは最大で5000人しか入場できない「超厳戒態勢」。収容約2万人のCスタはこの日、最大4000人の動員を想定し入場券を販売。梅雨空で来場は2294人にとどまったが、一部指定席で完売した。待ち続けたサポーターの思いが表れた。

開門時にはマスクを着用した入場者の検温と消毒を実施。客席の密を避けるため、4席中1席のみを着席可能とし、肩組み、鳴り物や声を出しての応援を禁止する場内アナウンスが流れた。違反者の見回りをしたが「大きなトラブルはなかった」(北川社長)。

岡山サポーターの三宅希奈さん(30)と佐藤美鈴さん(40)は「4カ月待ち続けました。ようやく試合が見られてうれしい」と声をそろえた。DF浜田は「いつもの人数ではないが、その中で結果を出したかった」。新たな応援スタイルの中で、Jリーグが新たな歴史を刻んだ。【横田和幸】