全国高校サッカー選手権は31日、東京・駒沢陸上競技場など首都圏を舞台に開幕する。今日5日から「ピッチで輝く」と題し、東北代表6校を連載形式で紹介します。第1回は秋田代表で、93年度の秋田経法大付時代以来、27大会ぶりに出場するノースアジア大明桜(秋田)。選手権制覇6度の国見(長崎)などでコーチ経験がある原美彦監督(48)が就任して3年目。秋田出身の3年生、Jクラブ下部組織出身者が多い1、2年生を融合させた新興勢力は「全試合圧倒」を目標に、県大会4戦を23得点無失点と盤石の戦いで頂点に立った。

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明桜は「全員攻撃全員守備」を基本コンセプトにサイド起点のつなぐサッカーを展開する。その上で原監督は1人1人が自分の色を出す必要性を説く。「チーム戦術先行、システム論ありきではなく、まずは個人個人が特長を生かしながらチームとしてどうするか。おおまかなチームコンセプトはあるが、その中で個が光るものにしないといけない」と言葉に力を込める。

18年4月の監督就任直後、まずは意識改革に取り組んだ。選手たちは県大会で最多優勝の秋田商や力のある新屋に名前負けし「最初はいろいろな部分でネガティブで、まずはマインドを変えないといけなかった」。すぐに全国で実績がある流通経大柏(千葉)、昌平(埼玉)、青森山田、尚志(福島)、盛岡商(岩手)などと練習試合を組み、強豪校を肌で感じることで心身の成長を促した。

現3年生は指揮官着任と同じタイミングで入学した「原チルドレン1期生」。秋田出身のDF鎌田太耀主将(3年)は「流経(流通経大柏)戦が印象に残っていて、セカンドチームでも秋田なら全然優勝できるレベルだった。今の実力では全国で1勝もできないと思って『このままじゃダメ。変えなきゃいけない』という気持ちになりました」。強豪に触れたことで、意識改革につながった。

札幌、名古屋、神戸など技術の高いJクラブ下部組織出身下級生が化学反応をもたらした。鎌田主将は「僕たちが1年生のころはつなぐ技術がなかった」が、新たな血が入り質が向上。「つなぐ」を体現できるようになり「今の2年生たちが来て誰が出てもおかしくない状況に変わった。ポジションを守るため、奪うために練習し、レベルアップできる環境に感謝したい」。初戦は31日に那覇西(沖縄)と戦う。「武器のサイド攻撃をより強固なものにして日本一を目指したい」。原監督率いる明桜がベールを脱ぐ。【山田愛斗】