今秋開幕予定の女子サッカープロリーグ「WEリーグ」に参戦が決まっている新潟レディース(L)の西東友里コーチ(31)が、今季からトップチームのコーチに就任。自身も8年間新潟Lで活躍していたこともあり、新潟に対して熱い思いを秘めている。愛着ある新潟Lでの監督を目標に、選手らの将来のロールモデルを目指す。

西東コーチは選手らに熱のこもった視線を送る。そのまなざしには選手1人1人と新潟への熱い思いが詰まっていた。「私自身、このクラブに愛情を持って育ててもらった1人なのでその恩もありますし、愛情をもらったものを県内外からチームにきてくれる選手たちに注ぎたい」と話す。

高校を卒業後、08年から16年まで8年間、新潟レディース(L)の選手として活躍した。当時はプロリーグではなかったため、働きながらサッカーを続けた。引退後の自分の将来を考えた時に、サッカーの指導者になろうと考えるようになった。

そのきっかけは、長年プレーしてきたサッカーを“人に教えるのが楽しい”という経験からだった。「高校時代に近くの小中学生に教える機会が何度かあり、子どもたちに分からないことを教えてあげて、できるようになった時に『すごく楽しいな』という感覚があった」と振り返る。引退後は新潟レディースU-18コーチ、監督を経て、トップチームのコーチに今季抜てきされた。

女性が活躍する社会を「WEリーグ」は掲げているが、S級ライセンスを持つ女性の指導者は日本では現在わずか8人しかいない。だが、昨年8月からS級に準ずる「AProコーチライセンス」の養成講習が開設。そのライセンスを取得すれば、プロリーグの監督をすることが可能となった。19年にA級ライセンスを受講、約1年をかけて20年4月にA級を取得した西東コーチは、「ライセンスの取得よりも、まずは『このチームでもっともっと自分自身が成長しなければいけない』という気持ちが今は強い」と、チーム強化と自分自身の課題を補うことをライセンス取得よりも優先した。

引退した選手がセカンドキャリアで何を目指すべきか? 西東コーチは「クラブのいいところや新潟県の良さを伝えていけるのも選手たちだと思う。自分もその1人だった」と語る。ゆくゆくは愛着ある新潟L監督を目標に、選手らの将来の道しるべを自らが切り開き、築いていく。【飯嶋聡美】

◆西東友里(さいとう・ゆり)1989年(平元)6月7日生まれ、茨城県出身。聖和学園高を卒業後、08年から16年まで新潟レディースで選手として活躍。なでしこリーグ通算131試合出場7得点。17~18年、新潟レディースU-18コーチ。19~20年、新潟レディースU-18監督として指揮を執る。