名古屋グランパスのDF森下龍矢(24)が、4日の川崎フロンターレ(等々力)とのJ1リーグ戦で実力の片りんを見せつけた。

出番が来たのは、既に0-3と敗色濃厚だった後半20分。DF成瀬と交代して右サイドバックに入った。同28分にMF稲垣の得点をアシスト。右サイドで球を持つFWマテウスの背後から全力疾走で追い越した森下が、パスを受けてマイナスのグラウンダーを稲垣に送り、名古屋には待望の1点が入った。

もちろん大量得点差があったからこそ、名古屋が反撃の時間を多くつくれたとはいえる。だが、森下が途中出場してからの約25分間は明らかにチームのテンポが上がり、右サイドで主導権を握れるようになった。マテウスとの相性も抜群だった。

試合後に森下は会見に出席しなかったが、稲垣が多くの時間を割いて後輩を称賛した。

「もちろん、あのパスをくれれば、自分は(ゴールを)決める自信はあるが、やはり、そこまでいった森下選手のオーバーラップからのクロス、そっちをほめてあげてほしい。彼の推進力は、あの場面に限らず、いくつもチームにポジティブな要素として出ていた。彼のような勢いをもたらせる選手がいるのは、僕たちにとって励みになるし、今後にも明るい材料になる」

森下は明大から昨年、サガン鳥栖に入団。1年目から33試合3得点とずばぬけた結果を残し、今季は名古屋に引き抜かれた。大卒2年目で異例の出世街道を歩んだが、名古屋の右サイドバックは成瀬や宮原が先発に定着した。

森下はベンチ入りするも、移籍後初出場したのは4月18日の古巣鳥栖戦の後半途中から。その時も稲垣の得点を演出するクロスを供給していた。この日がようやく2試合目。いずれも負けた試合だけに、本人もまだ納得はしていないだろう。

開幕前の森下は「前への推進力」が武器だと自己紹介した上で、「鳥栖では僕のよさを理解してもらっていたが、五輪や海外を目指す上で、チームの戦術に適応して、プラスアルファを出せるのが、サッカー人生のプラスになる」と意気込んでいた。

中盤や左サイドもできる器用さはあるが、何よりパワフルでスピードのある動きが魅力だ。東京五輪世代の強化合宿に招集された経験もある背番号17は、川崎Fとの2連戦に完敗した名古屋の中で希望の星となりそうだ。【横田和幸】

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