鹿島アントラーズは23日の19節大分トリニータ戦でスコアレスドローに終わった。鹿島は20日に降格圏のベガルタ仙台と引き分け、今節も19位に沈む大分に引き分けた。ともに、勝ち点1でも上積みしようとする相手に引いて守られ、そのブロックを打ち破ることができなかった。

大分は強固な5バックで守備に重きを置き、最低でも無失点で終え、勝ち点1を手にしようとする狙いに見えた。鹿島は高い位置でボールを奪い、いざ、攻撃に転じようとしても、大分の執拗(しつよう)なプレスと激しい球際に押され、奪った後の次のプレーでボールロストする場面が目立った。後半途中からはMF土居聖真、和泉竜司を投入し、ゴール前に押し込み続けたが、ネットを揺らすまでには至らず。シュート数はわずか3本。エースFWエヴェラウドの2本と、リーグ初先発となった大卒1年目のDF林尚輝の1本だったのは寂しい限りだ。

引いた相手を攻略するのは、上位チームであっても苦戦するもの。そのブロックを打ち破るには、寸分たがわぬ攻撃陣のイメージの共有と、各選手の高度な「止める・蹴る」の技術が必要だ。攻撃エリアに縦パスが入っても、受け手のトラップが大きくなりボールを失っていた。MF松村優太も幾度と背後を狙っていたが、味方のパサーとの呼吸が合わず、MFファン・アラーノがエヴェラウドを狙ったスルーパスもタイミングが合わなかった。

相馬直樹監督は、各選手の「前」への意識が出たことを評価した上で「相手の背後に入ることを狙っていたが、テンポ、タイミング、アイデアが、もう1つ必要なのかなと感じています」と課題を掲げた。攻撃のイメージの共有とあうんの呼吸は一朝一夕でいくものではない。だが幸い、東京五輪の中断期間がある。相手の対策を上回る力を付けて後半戦へ向かえば、巻き返しも期待できるはずだ。【岩田千代巳】