北海道コンサドーレ札幌はホームでFC東京を2-1の逆転で下し、準優勝した19年以来の4強入りへ先勝した。1-1で迎えた後半35分、MF荒野拓馬(28)が勝ち越しゴールを決めた。今季公式戦初得点、ルヴァン杯自身1号が決勝点となった。昨年11月に負った左足大ケガから復活した男が、勝利に導いた。

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荒野が負傷から復帰後、初めて公式戦でゴールネットを揺らした。好連係から生まれた1発は後半35分だった。DF福森から縦パスが送られると、FWジェイが落とした。仲間の動きを予測し、サポートに入っていた荒野がペナルティーエリア手前から右足で狙った。「思い切って振り抜くだけだった。ナイスアシストだった」。昨年11月3日リーグ川崎F戦(2○0)以来、今季リーグ戦18試合、天皇杯2試合、ルヴァン杯7戦目出場で奪った得点だった。

ホームで挙げた勝利後の喜びは控えめだった。「結果だけ見て、勝利に貢献できるゴールができて良かった」。自身のパスミスからピンチになる場面があり「うまくいかない、個人的には苦しいプレーが続いた」と悔しがる。そんなミスも仲間がカバー。決勝ゴールを決めても「今日は体を張って守ってくれたチームメート、みんなに感謝」と話した。

昨年11月21日清水戦で負傷した。左腓骨(ひこつ)骨折、左足首靱帯(じんたい)損傷で手術を受けてシーズン途中で無念の離脱。いつも前向きで「落ち込むことはない」と自負するポジティブな性格も、病院のベッドの上で術後の患部を見て一瞬落ち込んだ。それでも「こんな大ケガして落ち込まないやつはいないか」と、また前を向いた。

今季も開幕には間に合わなかった。リハビリを乗り越え、医者の診断より早くピッチに帰ってきたのは4月。なかなか戻りきらないコンディションも、焦らずひたすらプレーを続けた。

19年ルヴァン杯決勝で敗れた悔しさは忘れない。「またあの舞台に立って次はしっかりカップを札幌に持ち帰るのが僕たちの目標」と掲げる。昨年覇者から先勝して乗り込むアウェーへ、「しっかり準備して臨みたい」とさらに気持ちを引き締めていた。【保坂果那】

○…先発予定だったMFチャナティップが、試合前のウオーミングアップで左内転筋を痛めて欠場した。急きょ先発したFWジェイは決勝ゴールをアシスト。チームでアクシデントを乗り切った。ペトロビッチ監督は「早く復帰できればチームとしてうれしいことだが…、最近痛めていた場所と同じ可能性がある。もしかしたら少しかかってしまうかもしれない」と見通しを話した。8月28日のリーグ川崎F戦で4試合ぶりに復帰したばかりだった。