鹿島アントラーズは27日のホーム最終戦でサガン鳥栖に1-0で競り勝ち、4位に浮上した。4月にザーゴ前監督が解任された時の順位は15位(第9節)。第37節までに4位まで追い上げたのは、さすが鹿島だ。だが、鹿島はタイトルが義務付けられた、伝統クラブ。特に今季はクラブ創設30周年の記念イヤーで3冠を掲げて臨んでおり、無冠は無念で悔しい結果だった。

ホーム最終戦で主将のMF三竿健斗(25)があいさつした。「球際や切り替え、声を出すなど、初歩的なことだけを追究していても、タイトルを取り続けるチームに僕はならないと思います。相手が恐れるような、ゲームを支配するチームにならないと、これから先、また同じ悔しい気持ちをするだけだと思っています」。タイトルを逃した悔しさと、涙声のこの言葉が印象に残った。

今季の鹿島は、横浜F・マリノスに2勝した一方で、清水エスパルス、大分トリニータ、横浜FCなど残留争いをしたチームに取りこぼした。

特に、引いて守る相手には、攻撃エリアまでボールを運ぶも、ゴールを仕留めるまでに至らず苦戦した。三竿の言う通り、球際、攻守の切り替えは、強いチームになる上での大前提だ。あくまでも個人の見解だが、やはり、タイトルを取るためには個の技術のレベル向上に尽きると思う。

FW上田綺世の動きだしと決定力、MFピトゥカ、荒木遼太郎のように技術の高い選手も多い。一方で、チーム全体を見るとどうだろう。パスをもらってからあたふたとパスコースを探したり、雑なトラップでボールを失ったり、せっかくボールを奪ってカウンターに転じても、アバウトなパスで再びボールを失う場面が目立ったのも事実だ。戦術も大事だが、技術あっての戦術でもある。

4位から上を目指すのであれば、各選手がポジショニング、パススピードとトラップの技術に真摯(しんし)に向き合い、日々の練習から上げていくことが急務であるように思う。一朝一夕にいくものではないが、各選手が日常の練習からパス1本の質にこだわり、細部まで突き詰める姿勢を貫いていけば、笑って最終節を迎える日が来るだろう。【岩田千代巳】

J1順位表はコチラ―>