京都サンガF.C.が12年ぶりのJ1復帰を果たした。引き分け以上が自力昇格の条件だったアウェーのジェフユナイテッド市原・千葉戦は、0-0のドロー決着。勝ち点83で1試合を残して2位を確定させた。就任1年目の曹貴裁(チョウ・キジェ)監督(52)が中心となった古豪クラブが、10年以来のJ1に戻ってくる。既に昇格を決めていたジュビロ磐田が優勝を飾り、21位愛媛FC、22位松本山雅FCのJ3降格が決定した。

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曹貴裁監督が就任1年目で京都をJ1へと導いた。2度、胴上げされた京都市生まれの指揮官は「昔、都のあった京都の歴史は重いと思っていた。その歴史は背負えないが、今日から歴史をつくりたかった」と、目を真っ赤にした。

この日の後半は劣勢を強いられた。それでも「全員で90分通してハードワークできた」とFW宮吉。主将MF松田は「一番大きな昇格という目標がつかめた」。運動量、球際の強さは1年間安定していた。

曹監督は2年前の湘南監督時代、選手らへのパワハラが明るみに出て退任を余儀なくされた。湘南の8年間ではハードワーク勝負の「湘南スタイル」を確立させ、3度の昇格をもたらせたが、人との接し方を改めた。出直しの機会を与えてくれたのが京都だった。

選手とは「情熱と理屈が相交わったフットボールを展開したい」と、冗談を交えた会話を増やした。

「じゃんけんで相手はパー、うちがグーを出すことが分かっていても、グーでパーをのみ込む強さを身につけたい。選手の隠れた闘争心に火を付けたかった」

かつてカズや朴智星らスターを抱えても強さは維持できなかった。この日のピッチにはDF麻田ら4人の下部組織出身が先発。そこに松田ら即戦力を獲得し、バランスがとれ、競争のあるチームに変革した。

Jリーグ入会後はこれで4度目の昇格。J2では上位だった20年度の営業収益約21億円も、J1に上がれば下位。人もお金も潤沢ではないが、曹監督を中心に「京都スタイル」で来季は勝負する。【横田和幸】