小嶺忠敏さんの訃報に、青森山田の黒田剛監督は「先人たちが残してきたものを受け継ぎ、発展させていきたい」と話した。チームのために、多くの先人の話を聞き、生かした。だからこそ先人に感謝し、歴史をつないでいく覚悟を持つ。

「名門校はない。あるのは名指導者」と言われる。名門校には、必ず名監督がいる。名将が去ると、多くの場合で勝てなくなる。浦和南の松本暁司氏、帝京の古沼貞雄氏、清水商の大滝雅良氏…。鹿児島実の松沢隆司氏や東福岡の志波芳則氏は、同じ九州の小嶺氏を目標に日本一になった。

決勝に進む大津の平岡和徳総監督は古沼氏の教え子で、小嶺氏にも影響を受けたという。監督はほとんど教員だから、基本的に教え好き。独自の指導法もオープンに伝える。そうやって、高校サッカーは進化してきた。大会の歴史は、指導者の歴史。誰もが100年の歴史を振り返る大会中の訃報だった。