Jリーグは31日、22年第1回理事会を行い、次期チェアマンにJ1コンサドーレ札幌の野々村芳和会長(49)が内定したと発表した。

上限の4期8年を務めた村井満チェアマン(62)の後任。3月15日の定時社員総会、同日の理事会決議を経て正式決定する。

次期チェアマンは6代目で、野々村氏はJリーグでプレー経験がある初のトップ。静岡市出身で慶大から市原(現J2千葉)入りし、01年に札幌で現役を引退。13年から務めた札幌の社長を退き、会長に就いていた。

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野々村氏はメディアをうまく活用した。札幌では、北海道内向けラジオ番組に毎週2本レギュラー出演し、自分の言葉でクラブやJリーグ、日本代表についての考えや情報を発信してきた。クラブに関する記事にもコメント。事実ではない内容にははっきりと「違う」とばっさり。担当記者としては緊張感もあったが、取材には協力的だった。聞きにくい話題だけど、コメントがほしい…と思っていると、こちらの状況を察して「何か聞きたいことある?」と自ら近づいて機会をくれたこともあった。

だから、サッカーへの思いについては、たくさん聞いてきた。コロナ禍で中断していたJリーグが再開時期を探っていた20年3月。開幕前から「試合をやめた方がいい」と進言してきた野々村氏は、同年の降格なしの特別措置も、先んじて訴えていた。無観客での開催となれば、平等な競争が成立しないという考えだったからだ。ホームアドバンテージとなるサポーターの応援が欠けるため。そんな話の中で、「日刊スポーツがこういう状況を理解しないと」とも言われた。報道も巻き込み、ともにサッカー界を変えていこうという気概が感じられた。

トークショーなどでは、まだクラブが発表前の情報を“ポロリ”することもあった。確信犯だったのではないだろうか。サポーター、取材に来た報道陣へのサービスだったと思う。Jリーグのチェアマンという立場になると、そんなサプライズも難しくなるのかもしれないが、ぜひ「ののさん」流で務めて欲しい。【札幌担当=保坂果那】