北海道コンサドーレ札幌から3月末にJFL鈴鹿ポイントゲッターズに完全移籍した岩見沢市出身のGK阿波加俊太(27)が、困難を乗り越えようとしている。移籍後初戦だった4月3日の東京武蔵野ユナイテッドFC戦で左膝前十字靱帯(じんたい)断裂のケガを負い、全治約9カ月と診断された。来季の復帰を目指しており、チームメートとなったFW三浦知良(55)とタッグを組んで、Jリーグへのカムバックを誓う。

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阿波加は復活を目指し前を向く。1-0で勝利した鈴鹿デビュー戦で大ケガを負った。いきなり先発し、好セーブも見せて無失点に抑えていたが、後半相手と競り合い負傷し、同41分で交代した。5月に手術を受ける予定だ。「来季の始動には間に合うように」と待ち受けるリハビリへ、気持ちを奮い立たせている。

強い覚悟を持って移籍を決めたからだ。札幌U-15、同18で育ち、13年にトップチームに昇格した。J2愛媛ほか期限付き移籍したシーズンもあったが、札幌は最も長く過ごした地元のクラブ。「慣れ親しみ、寂しい思いもあったけど、サッカー選手としてこのまま試合に出ないで終わるのかって考えた時にチャレンジしたいと思った」。JFLで勝負しようと決意した。

J1とJFLでは環境面で違いはある。専用の練習グラウンドはなく、練習着も自分で洗濯する。それでも喜びがある。負傷した試合は久しぶりの公式戦だった。「前日からの緊張感は練習試合とは違った感じ方。やっていてすごく楽しかった」。

復帰を目指す来季、J3で戦えることを願っている。今季はチームメートに昇格の夢を託す。早くチームになじめるようにと、練習中のグラウンドを訪れるようにしている。そこで目にする55歳キングカズが仲間と同じ練習をフル消化する姿に、驚きと刺激を受けた。カズから「焦らず治していくしかないから」と助言ももらった。一緒にピッチに立てれば、理想がある。「ゼロで抑えてカズさんがゴールを決めて試合に勝つ」。試合で躍動する阿波加の姿が早く見たい。【保坂果那】

◆阿波加俊太(あわか・しゅんた)1995年(平7)2月7日、岩見沢市生まれ。札幌U-18時代の12年Jユースカップで優勝。年代別日本代表を経験。13年にトップ昇格を果たし、14年J3相模原、15年JFLホンダFC、17年J2愛媛に期限付き移籍。18年から札幌復帰。札幌時代はJ2で1試合出場。188センチ、77キロ。利き足は右。