鹿島アントラーズのDF安西幸輝(27)が14日、ヴィッセル神戸戦(16日、カシマスタジアム)に向けてオンライン取材に応じ、苦悩を吹っ切った心境を明かした。13日の天皇杯・ガンバ大阪戦ではFWエヴェラウドの得点をアシスト。積極的に仕掛ける本領を発揮し、勝利に貢献した。

今季は先発が続いていたが、持ち味のドリブルでの仕掛けは精彩を欠いた。明るく振る舞ってはいたが、苦悩の日々を送っていた。7月に入り、主戦場の左サイドバックではなくサイドハーフで起用されることもあり、直近2試合ではベンチスタートも経験。ポルトガルで一時、ベンチは経験したが、国内では出続けてきただけに「初めて悔しい思いをした」と振り返る。

かつて、どういうプレーをしていたのかも見つめ直した。「いい時は怖がらずに仕掛ける。これがチームにとって貢献できるところ」と気付いた。同僚のFW鈴木優磨からも「自分も試合に出られない時期があった。その時に自分のもともとあるポテンシャルのプレーを出せるか。自分が持っている武器を大切にした方がいい」と声をかけられたことで、確信へと変わった。

前節のコンサドーレ札幌戦は途中出場だったが「仕掛けること」に徹した。その姿勢が、天皇杯でのアシストに表れた。安西は「失敗してもいいとやっていた。失うものは全部失った。仕掛けてそこから先はどうにかなると感じてプレーしていた。大きなプレーだった」と話す。

チームメートの祝福にも「今季、自分の中で苦しいシーズンを送っていて結果が出なかったり、プレーも消極的になって。悩んでサッカーしてると感じてた。僕自身は元気にしているつもりだが、みんな気にかけてくれていた。ありがたかった」と感謝した。

苦悩のトンネルから抜け出す光が見えたところで、神戸と対戦する。「(神戸は)代表経験者がたくさんいる。ここで勝ち点3を取れるかで天皇杯で勝った意味が大きくなる。しっかり勝ち点3を取れるようにしたい」と前を向いた。