ヴィッセル神戸が3試合ぶりの勝利を飾り、J2自動降格圏の17位から入れ替え戦に回る16位へ浮上した。ホーム東京戦は2-1で逃げ切り勝ち。前半にMF山口蛍(31)の技あり先制弾が生まれるなど、J1通算ホーム150勝をつかみ、残り6試合で残留圏15位以内を目指す。13位京都から17位福岡まで勝ち点2差内に5チームがひしめく、大混戦の残留争いになった。C大阪は2連勝で4位に浮上した。

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神戸が魂の勝利で16位へ浮上した。前半11分、DF酒井のインターセプトからMF汰木を経由し、届いたパスに山口が右足を振り抜く。シュート回転でゴール右へと吸い込まれ、歓喜の輪が広がった。

「すべて気持ちで補えるわけではないが、泥臭くやれば結果はついてくる。常に危ないと念頭に置きながらやっていかないと」

山口は4月6日東京戦以来、約5カ月ぶり今季2点目の先制点でリズムをつくった。神戸は前半から球際の強度で上回り、主導権を握る展開に。酒井は「いい守備ができたから、いい攻撃ができた」と、連動した攻守に胸を張った。

故障を抱える主将MFイニエスタ、FW大迫がこの試合もベンチ入りできなかった。それでも主将は試合前の入場口に立ち、仲間を鼓舞した。貴重な追加点を決めたDF菊池は「もう勝つしかない。魂を込めてやっている」と続いた。

この日は声出し応援適用試合となり、ホームでの東京戦は6年ぶりの勝利。サポーターの声援に「涙が出そうになる」と吉田監督。これで16位に浮上し、次節は勝ち点1差の15位G大阪との大一番を迎える。残り6試合。神戸に希望が広がってきた。【横田和幸】

○…古巣東京戦を制したFW武藤は「何が何でも(チームを)勝たせないといけなかった。自分のゴールは生まれなかったが、守備がうまくはまり、いい攻撃につながった」と勝因を振り返った。16位に浮上した混戦の残留争いには「割り切って勝ちにいかないといけない。(今後も)勝ち点3が絶対に必要」と、自らに言い聞かせていた。