アルビレックス新潟はホームで大宮アルディージャを1-0で破って今季初の4連勝を飾り、J1昇格に“王手”をかけた。0-0の後半27分、途中出場のMF秋山裕紀(21)のJ2初ゴールが決勝点となった。最終盤は攻勢を強めた大宮に押し込まれたが、GK小島亨介(25)を中心にはね返した。勝ち点を77に伸ばし首位をキープ。次節10月1日のアウェーでモンテディオ山形に勝利し、2日に3位ファジアーノ岡山が金沢に引き分け以下なら6年ぶりのJ1昇格が決まる。

無我夢中で右足を振った。後半22分からピッチに入った秋山。その5分後だった。ゴール中央で相手と交錯しながらボールを落としたFW鈴木の横をすり抜けると、相手GKの動きを見極めてネットを揺らした。チームを今季初の4連勝に導くプロ4年目でのJ2初ゴールに「必死に走った。ホームで取れてうれしい。祖父母や両親を合わせて家族9人が(スタジアムに)来ていた。アシストした徳島戦も家族が来ていたので、これからずっと呼ぼうかな」と笑顔を見せた。

並々ならぬ覚悟がある。19年に新潟でデビューした秋山だが出場期間は得られず、20年はJ3沼津へ、21年は鹿児島へとともにシーズン途中から育成期限付き移籍を繰り返した。復帰した今季もリーグ序盤戦はベンチ外が多かったが、安野努フィジカルコーチ(44)と課題としていた筋力アップに着手するなど地道に努力を続けた。「自分でも驚くぐらい上半身がでかくなった」と秋山。松橋監督も「攻撃面でのアイデアに加えて(体の)力強さが出てきた」とここ9戦連続出場中のパサーを評価する。

チームは司令塔のMF高木が前節水戸戦で重傷を負い、戦線離脱。プロ1年目から高木に多くのアドバイスを受けていたという秋山は「今日のゴールはヨシ君(高木)にささげるゴール」。指揮官も「最終局面でヨシの魂がボールにのりうつったかな」と言った。

新潟は次節、10月1日に敵地で山形に勝ち、3位の岡山が翌2日の金沢戦で引き分け以下に終われば6年ぶりのJ1復帰が決まる。昇格“王手弾”を決めた秋山は「J2優勝での昇格を目指している。残り4試合、1戦1戦をしっかり戦いたい」と気を引き締めた。【小林忠】

■小島完封好セーブ3連発

○…GK小島が好セーブを連発。前半43分、後半18分、同39分のピンチを好セーブで防ぎ、無失点勝利に大きく貢献した。試合終了後はガッツポーズで雄たけびを上げた。「(シュートセーブは)予測できたし、うまく体が反応した。終盤は難しい展開になったが全員で守りきることができた」。

◆新潟の次節J1昇格決定条件

勝ち点77で首位に立つ新潟は次の第39節でJ1自動昇格圏の2位以内が決まる可能性がある。10月1日の山形戦に勝ち、勝ち点69の3位岡山が翌2日の金沢戦で引き分け以下だった場合、新潟の6年ぶりのJ1復帰が決まる。新潟は勝ち点80となり、残り3試合で岡山との勝ち点差は10以上。岡山は残り3試合に全勝しても勝ち点79以下となるため。