カタールじゃなくても、成田空港でなくとも、話題は「あの人」だった。今季限りで現役引退したJ2横浜FCの元日本代表MF中村俊輔(44)が10日、横浜市内で記者会見に臨んだ。尊敬する後輩について問われると「長友さん、長友さんですね」と笑った。

スパイクを脱ぐ希代のレフティーは、帽子を脱がなかった長友を“いじる”ことはなかった。8歳下ながら「向上意欲、私生活からのサッカーに対する姿勢は、僕も学ぶ点がたくさんあった」。明大時代は「太鼓持ちしてた」長友が、セリエAインテル、日本代表まで上り詰めた姿に、尊敬の念を示した。

現役生活26年。FKは代名詞となった。

俊輔 ちょっとしたおまけみたいな感覚でやっていただけなんですけど。こだわりは、PKと同じくらいの感覚で決めるんだっていう意識。蹴ったら必ず入るっていう。

サッカーとは? 13秒ほど沈黙し「生きがいですね。全てですね。それに尽きると思います」と言った。惜しまれつつも、ユニホームを脱ぎ、指導者への道へ-。芸術的なFK同様、ファンタジスタらしい戦術で、これからも人々を脱帽させる。【栗田尚樹】