全国高校サッカー選手権が28日、開幕した。12年ぶり24回目出場の国見(長崎)は、一目瞭然の改革を敢行。丸刈り頭の撤廃だ。

大久保嘉人、平山相太…。一流に育った同校OBたちも、高校時代は頭をそり上げていた。名門の「代名詞」とも言われた丸刈りの伝統を、就任5年目の木藤健太監督(41)が1年前に廃止。理由は明確だった。

「学校にはルールがある。そのルールやマナー、モラルをいかに守るかの方が大事だと思いました。坊主だと、最初から風紀検査には引っかからない。でも、髪の毛を伸ばしたら検査に引っかかりますよね。そこを学ばせないと」

髪形の制限を解けば、選手の自覚が試される。「やってはいけないことを判断できるようになることが大事。やってはいけないことをしても、高校生ならまだ許されます。その子の課題が明確になる。成長するためには必要なんです」。

高校を卒業すれば成人を迎え、社会に出る。木藤監督なりの自主性を育む考えだった。教育の一環で、丸刈り頭の伝統は途絶えた。

断固禁止だった携帯電話の所持も、2年前から認められた。「進路を決める時でも携帯は絶対に必要。自分が精神的に苦しい時は、誰かと話せばいい。今は時代が違いますから」。柔軟な姿勢で改良した。過去6度優勝の強豪が12年ぶりに選手権出場。結果は出ている。初戦は29日の北海(北海道)戦。「国見にとっては国立に帰ることが大事。国立の舞台に戻りたい」。生まれ変わった国見の戦いが始まる。【只松憲】