「新しい景色」への挑戦が続く日本サッカー界に、身長198センチの超大型ストライカーが現れた! 来季のJ2清水入団が内定している日大藤沢(神奈川)FW森重陽介(3年)は、2得点する活躍で西原(沖縄)に2-0と勝利した。
FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会でドイツ、スペインを下して16強と躍進した日本にあって、目標の8強へ探し求められるのがストライカーの存在だ。センターバックもこなす規格外の「二刀流」が、底知れぬ可能性を見せつけた。
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相手DF陣のはるか頭上から、森重がヘディング弾を見舞った。圧巻は後半3分の2得点目。DFアッパの右クロスにDFの背後から走り込むと、頭1つ、2つ上の打点でゴール右隅へ決めた。前半13分の大会初得点時は見せなかった、両腕を組むゴールパフォーマンス。フランス代表FWエムバペをほうふつさせるいでたちにも「とっさに出ました、意識していません」。あっけらかんと笑った。
前日28日に、日本代表の森保一監督の続投が決定。会見で日本協会の反町康治技術委員長が「能力の高いセンターフォワードの発掘に一番力を入れなければならない」と話したところだった。この日は長身を生かした頭での2発だったが、重心が低くキックも高精度。センターバック(CB)と二刀流をこなし、DFではロングフィードが得意。状況によってはFKのキッカーも務める器用さを兼ね備えている。
FWで先発、試合途中からCBにポジションを変える。この日も後半14分から立ち位置を変えたが、直後に右ふくらはぎをつった影響で途中交代し、全国舞台で二刀流は披露できなかった。佐藤監督は「(FWとDF)両方で頂点にいける可能性がある。いち監督の立場で日本の宝の方向制を決めてはいけない」と、底知れないポテンシャルを実感する。
東京Vの下部組織に所属したが、中学時代は成長痛にも悩まされた。思い通りにプレーできず、ユース昇格はならず、日大藤沢は「パスサッカーが好きだった」と選んだ。才能を開花させ、清水入りが内定。2度の練習参加はDFとFWでそれぞれプレーし、FW登録となった。今大会はもちろん優勝、個人では1試合1得点が目標だ。
粗削りな部分は残る。この日も高さで圧倒して頭で合わせたシュートが枠を捉えられない場面もあった。たたきつける力強いヘディングが身につけば、手がつけられないFWに化ける可能性を秘めている。
W杯カタール大会は好きなイングランド代表戦など、多くの試合をテレビで観戦した。森保ジャパンの活躍にも刺激を受け「いずれは立ちたい」。ただ、今は選手権のタイトルが一番ほしい。「小さな目標から、1つずつ達成していきたい」。日の丸を背負う潜在能力を持った大器が、実力を示して選手権デビューを果たした。【岡崎悠利】
▽森重陽介
(もりしげ・ようすけ)
◆出生 2004年(平16)4月5日、神奈川県藤沢市生まれ。
◆経歴 JFCフトゥーロ、東京Vジュニアユースを経て日大藤沢に進学。
◆ポジション 中学時代はサイドバック、ボランチ、サイドハーフでもプレー。高校1年でCB、2年からFWとの二刀流に。
◆身長 小学時代から背の順は最後尾。小6で170センチ後半になり、電車やバスを小学生料金で乗ると「中学生でしょ」と疑われたことも。
◆背番号19 2年春の大会でサイズの合うユニホームがたまたま「19」だった。以降、エースなのに控え番号の19を愛用する。
◆手本 FWではハーランドやレバンドフスキ、DFではファンダイクを参考にしている。
◆好きな選手 本田圭佑。理由はサッカーへのあふれる愛を感じるから。
◆体格 198センチ、86キロ。
◆来季J2の清水入りが内定している日大藤沢の198センチFW森重は、23年のJリーグで最長身のフィールド選手になりそう。22年シーズン終了時のJリーグで198センチ以上の選手は4人いたが、全てGKだった。
高校選手権で活躍し、その後プロ入りした大型FWは190センチの平山相太(国見)が有名。01~03年度の3大会で通算最多17得点を挙げ、日本代表でも国際Aマッチ初出場でハットトリックを達成した。国見では93年度から3大会連続で出場した194センチのFW船越優蔵も活躍。93年のU-17世界選手権(現U-17W杯)でMF中田英寿らと8強進出に貢献した。ちなみに日本代表の国際Aマッチでの最長身得点者はFWハーフナー・マイクで194センチ。
W杯カタール大会で活躍した主な長身FWを見ると、4得点のフランスFWジルー、3得点のオランダFWハクポがともに193センチ。GKが伸ばした両手より高い打点のヘディングシュートを決めたモロッコのFWネシリは188センチ。大会最長身FWは2得点を挙げたオランダのウェフホルストの197センチで、森重は身長だけならそれを上回る。



