12年ぶりに選手権の舞台に帰ってきた国見(長崎)が熱戦を制して初戦を突破した。

北海(北海道)と1-1でPK戦にもつれ込み、最初のキッカーが外したが逆転勝ち。同校で監督を務め、6度の選手権優勝に導いた小嶺忠敏さんは今年1月に逝去。名将にささげる1勝で、高らかに古豪復活だ。伝統だった丸刈り頭も携帯電話禁止のルールも撤廃した「ニュー国見」が、国立帰還を目指す。

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激闘を制すと、国見イレブンは髪の毛を激しく揺らしながら喜んだ。青と黄色のユニホームは伝統カラーだ。しかし、かつて、強さの象徴だった丸刈り頭の選手はいなかった。生まれ変わったニュー国見が12年ぶりの選手権で1回戦突破。PK戦で劣勢から2本のシュートを止めたGK今村は「気分が上がりすぎて。もう、うれしい気持ちしかない」と興奮気味だった。

時代が変わった。84年に監督就任し、03年度大会まで戦後最多6度の選手権優勝に導いた小嶺忠敏さんは今年の1月7日に76歳で死去した。当時の練習は日本一の厳しさ。高校球児のような選手の丸刈り頭は代名詞だった。「死ぬ時はグラウンドで」と話すほど、情熱的な名将だった。

就任5年目の木藤健太監督(41)は国見出身。小嶺監督は恩師だが、伝統にとらわれない。1年前に丸刈り頭の伝統を撤廃。髪形の制限を解くことで、学校のルールを守る自覚を試すためだ。さらに携帯電話の所持も2年前から容認。時代にあった指導を敢行した。

改革は大一番で生きた。前半37分、FW利根が先制ゴールを決めた。日頃からスマートフォンで海外サッカーのゴール集動画を研究した成果だ。「(最近は)リバプールのヌニェス選手を見ました。万能で起点にもなれて得点もできる。個が強い」。イメトレはばっちり。MF幸のクロスを冷静にゴールに突き刺した。戦術も、蹴って走るパワーサッカーから、現代風のパスサッカーに変化した。

一方で、小嶺イズムを継承する。木藤監督は「勝負への執着心や絶対に相手に負けないというメンタル。小嶺魂と言いますか。そういうのは引き継いでいきたい」と言う。前半終了間際にペナルティーエリア付近から4連続シュートを浴びたが、DF陣が全て体で跳ね返した。GK今村は「シュートに対して下がらない気持ち」と振り返った。

天国の小嶺監督にささげる1勝だ。木藤監督は「今日のような試合ではだめ。先生に『もっとやらんか! ふざけるな! 何をちょこちょこしとるんや』って言われるんじゃないかな」と天を見上げた。09年12月31日以来、13年ぶりの選手権勝利。復活ののろしを上げた。【只松憲】

○…国見OBで元日本代表FWの大久保嘉人氏(40)が母校にエールを送った。スタンドで観戦し「久々に全国で国見を見ることができたのでうれしいです。OBも盛り上がっている。国見の復活を見せてほしいね」とうれしそうだった。自身は00年度に高校3冠を達成。故・小嶺監督は恩師にあたり「小嶺先生も久々に出て喜んでいると思う。生徒は楽しんで思い切ってプレーしてほしい」と後輩たちの背中を押していた。

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