青森山田(青森1位)が正木昌宣監督(41)体制で初タイトルを手にした。遠野(岩手2位)を3-0で下し、2年ぶり9度目の優勝に輝いた。前半に幸先よく2点を先取。後半8分には新エース候補のFW津島巧(2年)が、4試合連続弾で試合を決定づけた。チームは今大会4試合で23得点1失点と攻守が安定。J2町田指揮官に転身した黒田剛総監督(52)の退任後、初の大会で上々の滑り出しとなった。

青森山田の長身ストライカーが4戦連発で覚醒した。2点リードの後半8分、182センチ、76キロの津島はMF杉本英誉(2年)のスルーパスに抜けだすと、相手DFのスライディングをものともせずに右足を振り抜いた。「走るスピードに緩急をつけてうまく抜けだせた。ヒデ(杉本)もいいアシストをしてくれて流し込むだけだった」。計4ゴールで大会制覇に貢献。「山田は東北で絶対に勝たないといけない使命があるので、優勝できたのはいい経験になった」とうなずいた。

準々決勝で敗退した今季の全国高校選手権で登録メンバー30人に選出も、1度もベンチ入りせずに大会を終えた。プレミアリーグEASTは8試合無得点、プリンスリーグ東北は9試合3得点。正木監督からは「点の取れない選手は使えない」とハッパをかけられたという。「新チームになってから毎試合点数を取れて良かった」と津島。今大会は結果で応えた。

点取り屋として真価を発揮した。正木監督も「津島がちょっと覚醒してきている。前で頑張れて、チェイシングもするし、(ボールの)収まりとかヘディングとかそこら辺ができてくると、山田の1トップを任せられる存在になる」と期待する。また「毎年、東北新人ではシンデレラボーイが出てきている」とし、3ゴール10アシストで大活躍の杉本にも賛辞を贈った。

雪国青森とあって、全国選手権後は実戦経験をほとんど積めていないが、対戦相手を圧倒した。1回戦は新屋(秋田3位)に10-0、2回戦は秋田商(秋田2位)に6-0、準決勝は聖光学院(福島1位)に4-1で勝ち上がり、決勝の遠野戦も快勝。プレミアリーグが開幕する春に向けて弾みをつけた。津島は「FWなので毎試合1点以上を取り、チームを勝たせられる選手になりたい」と力を込める。青森山田の躍進には背番号「9」の大爆発が欠かせない。【山田愛斗】