鹿島アントラーズが5日、カシマスタジアムでJ2東京ヴェルディと練習試合(45×4本)を行い、4本合計2-1で勝利した。

鹿島は宮崎キャンプでJ2徳島、岡山、町田に3連敗を喫していた。この日も主力組が出場した1、2本目は0-0。3本目に東京Vに先制を許したが、過去3試合のような大量失点はなく、4本目に新加入のFW知念慶、垣田裕暉が得点し、逆転で今季“初勝利”を挙げた。

キャンプ中の連敗は、メディアでも取り上げられ、無意識ながらネガティブな空気感が流れていた。それだけに、岩政大樹監督は「3、4本目の選手がよく乗り越えた。同点ではなく、逆転までいってくれた。これでチームのムードも変わってくる」と振り返った。

ただ、キャンプも含め、主力組が出た試合は、4試合でわずか1失点。最終ラインのDF常本、植田、関川、新加入の佐野が、終始、安定感あるプレーに徹し、ピンチらしいピンチはほとんどなかった。岩政監督も「ラスト10分は守備をおろそかにしていた」と反省を促したが「キャンプから、1本目のメンバーは4試合で1回失点しただけ。最後の10分以外は我慢強くやっている」と合格点を出した。

課題は攻撃面だ。徳島戦では2得点したものの、岡山、町田、東京V相手に主力組は無得点に終わっている。岩政監督も、攻撃に関し「クラブとして取り組まないといけないところ」と位置付ける。これまでは、シンプルな攻撃と強度でタイトルを手にしてきたが、今後はタイトルのために、現代サッカーの攻撃の引き出しを増やすことが求められる。岩政監督は「勝つためにはやらないといけないこと。僕は苦しくてもやり通したい」と覚悟を口にする。

攻撃をつくりあげるのは、一朝一夕ではいかない。だからこそ、まずは守備の大切さを強調する。「絶対に必要なのは守備で崩れないこと。攻撃がうまくいかないとバランスを崩して、それで失点して負け始めたら、これはもう、すべてがふいになる。そこは外さないようにしようと。そこを強調している」。

課題の攻撃面も、試合を重ねるごとに前進している。岩政監督は「スムーズにビルドアップ(攻撃の組み立て)をしていく所がいくつか見られた。これまでとは違った。そこからの迫力をどう出すかは課題としてあるが、それを今季、シーズン通してやっていかないといけない」。1歩ずつ、強い鹿島への道を歩み始めている。