湘南の日本代表FW町野修斗(23)が、リーグ史上初となる前半だけで4ゴールの離れ業を遂げた。前半21分に相手GKのクリアミスから右足で先制。19分後にハットトリックを達成すると、さらに2分後、左からの折り返しを右足で押し込んだ。

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J1史上初めて、前半だけで4ゴールが生まれた。決めたのは町野だ。昨年のW杯カタール大会日本代表に代替招集された湘南のエースが、プロ6年目で初のハットトリック…だけにとどまらない。2分後、プラス1点の偉業を遂げた。「歴史に名を残せてうれしい」。チームメートにサインを集めた試合球を大事そうに抱え、笑みを浮かべた。

3月の日本代表活動を終えてチームに合流した後、まともに練習できたのは1日だけだった。しかし、ブランクより悔しさが体を動かす。コロンビア戦で先発もシュート0本に終わり、たまっていたものをゴールショーで吐き出した。前半21分、日本代表GK谷がボール処理を誤ったミスを逃さず、無人のゴールへ。先制の38分には、こぼれ球を迷わず右足で蹴り入れた。

巧みさが際だったのは3点目だ。40分、右FKが流れてゴール左奥で拾うと「クロスを上げると思われていたと思うので」と裏をかき、角度のない位置からGKの頭上に弧を描く正確なシュートを決めた。勢いそのままに2分後、オフサイドライン際を突いて滑り込みながら4点目を決めた。

今や代表の肩書を背負うだけに、Jでは「違いを見せたい」と口にする。チームには開幕戦以来の白星となる今季2勝目、ホームでは初勝利をもたらした。得点王を狙うと公言する23歳のストライカーのエンジンが、一気に温まってきた。

▼記録メモ 湘南FW町野が1日のG大阪戦で前半だけで4得点。ハットトリックは自身J1で初、通算257度目。4得点以上は名古屋FW前田直輝が20年8月8日の浦和戦で達成して以来で通算20度目だが、前半だけで4得点は今回の町野が初めて。4点目の最速記録は鹿島FW柳沢敦が98年4月4日の京都戦でマークした後半4分だった。J1の個人1試合最多得点は5得点で過去に4人が達成。湘南では平塚時代の95年5月3日の鹿島戦でFW野口幸司が記録している。