セレッソ大阪が、決死のシステム変更で執念の勝利を手に入れた。

王者横浜を相手に後半38分、オウンゴールで1点差に迫られた。その直後にDF進藤とMFクルークスを投入。ベンチ前に立った小菊昭雄監督(47)は両手を頭上にし、選手に向かって5本指を示した。

基本システムの4バックから、5バックに変更する指示だった。

「少し早いタイミングだったが、こういった強い相手に新たな挑戦をし、成功体験を得られたのはうれしい」と指揮官。

最終ラインの守備を5人に増やすのは今季初めて。本来は後半40分以降に、たとえ2-0のままでも用意していた逃げ切りのオプションだった。だが、1点差となり、数分前倒しで変更。横浜の猛攻を浴びたものの、そのまま逃げ切った。

C大阪は昨秋以降、試合終盤の失点が目立ち、多くの勝ち点を失ってきた。今季も同様に、直近のルヴァン杯の大阪ダービーでも後半ロスタイムの失点で、痛恨ドローに終わっていた。

残り約10分間のミッションを遂行した進藤は「先発で出場したいが、自分の役割はそこ。100%の準備と集中をしていた。結果が出てよかった」。

先発していたDF鳥海は「終盤に失点が多いのは事実だったので、堅い守備ができればと思っていた。(相手の)クロスもこなかった」。5人が最終ラインに並ぶことで、右サイドのMF毎熊、左サイドのDF山中が相手のクロスを封じ、あとは中央でゴールにカギをかけることに専念した。

山中は「なかなか苦しい戦いが続いていたが、今日から4月。いいスタートを切りたかった。王者から勝ち切れたのは大きい」とうなずいた。

もちろん、前半だけで2-0とリードし、さらに追加点で3-0にするのが理想ではあった。得点ラッシュのプランが実現できなかった時、この5バック変更は重要な作戦になる。

公式戦は最近5試合は負けなし(3勝2分け)とし、リーグ戦は2勝2分け2敗の10位へと浮上した。「この不敗記録を継続し、レベルアップしていきたい」と小菊監督。タイトル獲得を今季のノルマにするC大阪は、4月の初戦を尊い勝利で飾った。