元日本代表で川崎フロンターレでプレーした中村憲剛氏(42)が、13日放送の日本テレビ系アニメ「名探偵コナン」(土曜、午後6時)で、川崎F後輩のMF大島僚太の声を務め、このほど声の収録を行った。

同アニメとJリーグ30周年を記念したコラボ企画で、劇中に「多摩川クラシコ」(FC東京-川崎フロンターレの一戦)が登場。後輩の大島が出演できず、中村に大島役の白羽の矢が立ち「今回は大島僚太役として現役復帰です」と苦笑した。

中村氏は12年公開の映画「名探偵コナン・11人目のストライカー」で本人役で出演しており、今回が11年ぶりの声優挑戦だ。

かつて戦った「多摩川クラシコ」がアニメで描かれることに、中村氏は「ありがたいですよ。多摩川クラシコの歴史の積み上げがそうさせてくれたのかなと」としみじみ。

クラシコの一番の思い出は06年と07年。06年11月11日の味スタでは、4-1とリードしていたが、終わってみたら4-5の大逆転を食らった。07年10月28日は同じ味スタで7-0の歴史的勝利。中村氏は「クラシコは正直、そのときの順位は関係ない。ここで勝つか負けるのは、結構、後世に残るんですよ。06年の対戦は、いまだに言われますし、その翌年は、絶対にここで勝つ、と。06年と07年がパッケージ」。

それだけではない。中村氏が現役最後に得点したのも、20年10月31日の多摩川クラシコ(等々力)だった。「10月31日は自分の誕生日で。決勝点を決めて、翌日(11月1日)に引退を会見したんです。自分のサッカー人生で意味の大きいゲームが多かった」と思いを語った。

30周年を迎えたJリーグ。1993年の開幕時は中学1年だった。テレビでヴェルディ川崎(現東京V)-横浜マリノスを観戦し、ラモス瑠偉、カズらスターのプレーを見て「Jリーガーを目指そう」と夢を持った。

「開幕戦でプロを目指していた人間が、10年後の03年にJリーグに入って。そういう僕の姿を見て少年少女がプロへの思いを寄せて毎日頑張る。そのサイクルが30年経つとだいぶ回ってくる。日本代表も7大会連続でワールドカップ(W杯)に出て。Jが発展して、盤石なものにならないと、日本代表の強化につながらない。日本のサッカーのレベルアップに、Jリーグはすごく貢献していると思う」と語る。

現在、中村氏は日本サッカー協会(JFA)のロールモデルコーチを務め、次世代の育成にも励む。現役引退後も、中村氏のJリーグや日本サッカーへの貢献は続いている。【岩田千代巳】