16年ぶりのJ1に臨む東京ヴェルディが、25日の横浜F・マリノスとの国立開幕戦に向け、着々と準備を進めている。13日、東京・稲城市のグラウンドでの練習を公開した。約1時間半ほどの全体メニューをこなした後、各選手はそれぞれの課題に応じ、個別練習に取り組んだ。

今季は副キャプテンに就任し、DFリーダーと期待されるのが谷口栄斗(ひろと=24)。小学生から高校まで東京Vのアカデミー育ち。国士舘大を経て戻ってきたプロ3年目は、屈強なフィジカル、スピードに加え、前線への正確な縦パスが持ち味だ。がっちりした筋肉質な下半身が目立ち、この日も軽快な動きを披露した。

開幕まで2週間を切る中、谷口は「コンディションはすごく良い。昨年は(J2の)開幕2節で肉離れを起こしましたけど、いい感じで仕上がっている」と口にした。

1月から2月上旬までは温暖な沖縄合宿が体を鍛え、練習試合も多くこなした。ハイプレス、ハイラインを戦術ベースに、最終ラインを高く保ち、前からボールを奪いにかかるスタイル。「昨年からの積み上げがあって守備には自信がある」と言う。神戸FW大迫勇也とも練習試合でマッチアップでき、J1のトップレベルを実感。「僕たちが重っているほど、遠くはないと思った」と手応えはつかんだ。

一方で、新しい選手が多く入ったことで、攻撃についてはコミュニケーション不足も感じている。「攻撃のところはまだまだ合わせていかないといけない。このままだと厳しい戦いになる」と課題を口にした。

その谷口は、プレーばかりでなく、アフロ風のおしゃれなヘアスタイルが目立ち、異彩を放っている。ヴェルディでアフロと言えば、東京Vでブレークした中沢佑二(1999~2001年シーズン在籍)を思い出す。中沢は「ボンバーヘッド」と呼ばれ、実力とともに人気を博した。

ただ、谷口の髪はパーマを施したものではなく「天然」だそう。18年のNHK大河ドラマ「西郷どん」にも出演した、人気俳優の渡部豪太のような雰囲気でよく似合っている。

「特徴があるのはいいことだと思います。活躍してインパクトを残したい」と誓う。

開幕戦の相手、横浜F・マリノスには昨季22ゴールを挙げて得点王に輝いたFWアンデルソン・ロペスがいる。「マッチアップするので抑えたい。勇気を持ってプレーする。それが自信にもつながる」。開幕カードの国立には5万人以上が訪れる見通し。そこで自身の知名度も高めたい。

身長は181センチ。高さが持ち味(187センチ)だった中沢とは特長は違うが、対人の強さと足元の技術で横浜に立ち向かう。ヴェルディの「おしゃれボンバーヘッド」谷口の出来が、勝負のカギとなりそうだ。【佐藤隆志】