8月10日に81歳で死去した元日本代表の釜本邦茂さんの「お別れの会」が22日、都内で開催された。高円宮妃久子さま、日本代表森保一監督(57)らサッカー界を中心に468人が参加。男子の国際Aマッチ歴代最多75得点を誇る不世出のストライカーをしのんだ。女子の最多得点記録を持つ元女子日本代表なでしこジャパンの澤穂希さん(47)は、故人との思い出を語った。

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「この記録、分かっているんだろうな?」。澤さんは、緑色をベースとした祭壇の上で優しくほほえむ釜本さんの写真を見ながら、かつてかけられた言葉を思い起こした。2011年W杯ドイツ大会前。激励会として釜本さんの自宅でハモ鍋をごちそうになった。その時に冒頭の本音ともとれる冗談を受け止めた。

澤さんは、本大会1次リーグ第2戦のメキシコ戦でハットトリックを達成。釜本さんの代表通算75得点を一気に抜き去った。「釜本さんにとっては私の背中を押してくれる励ましの言葉であって。前めの選手は得点にこだわれ、得点を必ず取ってこい、と背中を押してエールをくれた言葉だと思っております」。

同大会で優勝、大会得点王、MVPを土産に帰国すると再び祝勝会として釜本家に招かれた。そこで「記録は抜かれるものだ。おめでとう、よかったな」と声をかけられた。不世出のストライカーから褒められ「あの負けず嫌いの釜本さんがそういうお言葉をくださったのはうれしかった」。釜本さんを抜く代表通算83得点を記録した澤さんは、当時の思い出を語った。

出会いは40年前。サッカーを始めたばかりの7歳の頃だった。釜本さんが1700回以上、全国で展開したサッカー教室に参加。当時は女子選手が珍しかったこともあり「君、本当に女の子かい?」と語りかけられた。圧倒的な実績はもちろん、後進の育成という観点でも日本サッカーに与えた影響は大きい。澤さんは「釜本さんの女子版として、釜本さんには追いつかないですけど、そのような存在でいたい」と誓いを立てた。【佐藤成】