同じ轍(てつ)は踏まない-。反骨の指揮官、東京ヴェルディの城福浩監督(65)がアウェー連敗ストップにチャレンジする。

次節アウェーの浦和レッズ戦(12日・埼玉スタジアム)に向けて10日、東京・稲城市の練習場で非公開トレーニングを実施した。前節はアウェーのフクアリでジェフユナイテッド千葉に2-3と敗れた。前半に主導権を握られ、あっさりと2失点。後半に立て直しを図ると一気に2-2の同点まで持ち込んみ、さらに攻勢をかけた中、一瞬のスキを突かれて決勝点を奪われた。

今季は敵地で勝ち点を落とす傾向が強い。2月15日の柏レイソル戦こそMF福田湧矢の決勝点で2-1と競り勝ったが、その後は横浜F・マリノス(2-3)、鹿島アントラーズ(0-2)、そして千葉とアウェー3連敗中だ。

千葉に敗北直後、城福監督は2失点した前半の内容を踏まえて「精神論で言いたくないですけど、エネルギーでまったく負けていました。前線も中盤も最終ラインも、この試合にかけるエネルギーって言うのが、まず負けていた」と口にした。

その失敗を糧にできるのか? 今回は5万人規模の観衆で埋まる埼玉スタジアムとあって、なおさらメンタルの要素も大きくなる。

前回フクアリでの試合を踏まえ、こう振り返った。

「相手がチャレンジャーになって我々が受けるっていう状況だったのは、それを誰がやったんだというふうに考えた時に(試合の)入りを見たら我々がやってるんですよ。我々が相手をチャレンジャーにしてしまっていて、我々が受けてるんですよね。その守備は見せました。なぜここで腰が引けるのかと。これは相手のサポーターの問題なのかと。お前らじゃないのかというのは強く強く言いました」

ただ精神論で片付けたくない。その理由は「精神論だけだと正当なというかジャストな判断ができない」。

気持ちは熱く燃えたぎらせながらも、頭の中は冷静に、というバランスが勝負の世界には求められる。

「我々が狙いとしてる守備であったり、攻撃というところは、そこはしっかり判断をギリギリまで選択肢を持たしながら、みんなで共有していくというか、同じ絵を描いていくっていうことはやらなきゃいけないと思います」

ただ立ち上がりは心理面が働きやすい。だからこそこう説明した。

「特に試合の入りっていうのは、なんていうかな、伝播(でんぱ)していくもんなんで、1人、2人が“受けた判断”をしてしまうと、あるいは消極的な判断をしてしまうとそっちに引っ張られてしまうので。ここはみんなが、例えば全部前から(プレスに)行けとか全部裏に(ボールを)蹴れって、そういうことじゃなくて、冷静はな判断をしながらも受けに回らないっていうことがどういうことか。そこをしっかりできるといいかなと思います」

前節は2-2と追い付いた流れから、東京Vにはいくつか決定機があった。そこで仕留められなかったFW山見大登は試合後、誰よりも悔しさをかみしめていた。裏を返せば、短い時間で複数の決定機を生み出せる貴重な選手だ。次の浦和戦は、そんなリバウンドメンタリティー(困難や失敗をバネに成長する精神)の見せどころとも言える。

それらストロングをどう生かしていきたいのか? 城福監督はチーム状況を踏まえ、こう語った。

「人それぞれにストロングがあって克服していきたい課題があるんですけど、ストロングがあるからこそ今みんなプロになってるわけで、それをある程度できているから試合に絡めてるんだと思うんですよね。課題だけにフォーカスするんじゃなくて、ストロングを助け合うようなチームになんなきゃいけない。もちろんこのチームは何も免除されないです。守備で免除される選手はいないけれども、前線の選手に点を取らせてやるから、俺ら守ってやるからっていうメンタリティーが必要だし、前の選手はお前らが守ってくれるから俺が点取ってやる、俺にボールを寄こせと」

チームとは生きものだ。戦う上で気概や仲間への思いというものが、ピッチ上のサッカーを形作っていく。

どれも平均点以上に円形にまとまった選手もいれば、一長一短が大きいいびつな三角形選手もいる。城福監督はそれを個性ととらえ、うまく組み合わせていくことでチームの係数を大きくしている。

だからこそ、その思いが口を突いて出た。

「何故(なにゆえ)にプロになったんだと、何故に自分がここまで来たんだっていうことは忘れちゃいけないし、お互いにそれを引き出し合わなきゃいけないと思う。お互いに課題のところを指摘し合うようなチームになったら、いいところは何も出ない。多少のことがあっても俺らが守ってやると、俺らが点取ってやるんだって。やっぱりそこの部分が僕は足りてないと思うんです。1人1人を見たら足りてないところなんていっぱいあって。でもその選手がなぜプロになって、特長は何なのかってことを、お互いが認識し合いながら支え合うっていうような状況をもっともっと作りたいっていう話を選手にしました」

次なる相手、浦和は4連敗中(1試合はPK負け)と苦戦を強いられているが、選手個々の能力を見れば実力は上位にある。

熱血漢の思いは届くのか-。この1週間の取り組みの正否、その答え合わせとなる。【佐藤隆志】