<J1:鹿島2-0山形>◇第31節◇8日◇カシマ

 2位の鹿島はJリーグ史上初めて相手チームをシュート0本に抑えて山形に完勝。川崎Fとの勝ち点1差をキープした。

 鹿島が鉄壁の守備で前人未到の3連覇へ再加速した。公式記録に記された山形のシュート数は0本。自陣ゴールそばで山形の攻撃陣をフリーにすることなく、ペナルティーエリア内にもほぼ侵入されなかった。「シュートを打たれた記憶がないんですよ」とGK曽ケ端。J史上初の「完全試合」にオリベイラ監督は「相手に明らかなチャンスはなかった。守備が安定することで、試合がコントロールできる」と称賛した。山形が超守備的な戦術を取ったとはいえ、完ぺきな試合内容だった。

 9月から10月にかけて5連敗のどん底状態に陥った時は守備陣が崩壊。5戦13失点を喫した。だがMF小笠原、中田が守備的MFを組んで中盤が安定し、チームの状態が上がるにつれて守備も復調。鈴木満強化部長が「(10月24日の)千葉戦の勝利で自信が戻った。今日は攻守とも久しぶりに鹿島アントラーズのサッカーだった」と評価した。

 守備の安定が、攻撃のリズムも生んだ。テンポ良いパス回しを続け、前半20分にFW興梠が小笠原のスルーパスを受けて先制点。地元宮崎市から招いた家族の前で、2点目のPKをもたらす反則も誘った背番号13は「家族の前で点を取れてうれしい」と声を弾ませた。

 「黄金月間」も到来した。オリベイラ監督が07年に就任して以降、11~12月のリーグ戦成績は9試合8勝1分け。うち8試合を完封している。DF新井場は「この時期は失点をゼロで抑えることが大事」と言い切った。首位川崎Fと勝ち点差1の2位。次節の21日の京都戦はDF岩政とマルキーニョスが出場停止だが、興梠は「ぼくらは目の前の試合を勝つしかない」。らしさを取り戻した鹿島が得意のラストスパートに入る。【菅家大輔】