<プレナスなでしこリーグ:INAC神戸3-2AS狭山>◇第3節◇29日◇ホームズ

 沢、五輪へ前進!

 良性発作性頭位めまい症を患っていたINAC神戸のなでしこジャパンMF沢穂希(33)が29日、AS狭山戦(ホームズ)で約2カ月ぶりに先発復帰を果たした。沢はボランチの位置で61分間プレー。相手とヘディングで競り合うなど、不安を感じさせない動きをみせた。7月25日開幕のロンドン五輪に向けても順調に歩みを進めた。試合はINAC神戸がAS狭山を下し、開幕3連勝で首位をキープした。

 なでしこジャパンのエースにようやく笑顔が戻ってきた。2月29日のアルガルベ杯1次リーグ・ノルウェー戦以来、約2カ月ぶりとなった先発。沢は序盤から相手DFとヘディングで競り合うと、後半には積極的な上がりで果敢にゴールを狙った。出場した61分間でブランクを感じさせない動きをみせた。

 「(前半は)ミスを恐れて消極的になってしまったけど、後半は攻撃に参加できるチャンスもあったので、それを増やしていければ」

 いつ試合に復帰できるかも分からない中、地道にトレーニングを重ね、症状が完全に治まるのを待ち続けた。復帰を焦るあまり、メニューを増やそうとして、トレーナーに制されることもあった。それだけ試合に飢えていた。「今はサッカーをやれる喜びを感じている。まだ(ベストには)程遠いし、すぐには結果はついてこないと思うけど、徐々にゲーム感覚を取り戻していきたい」。

 チームは沢が退いた後、2失点。ヒヤヒヤの勝利に、星川監督は「リスクを冒して4点目を狙う必要はない。危機管理を自分たちでできるようになってほしい」と苦言を呈し「沢がいないとチームがフワフワしてしまう」と、あらためてチームの大黒柱である沢の存在の大きさを認めた。

 金メダルを目指すロンドン五輪の開幕まで約3カ月。星川監督は「沢が入ってやっと自分たちも開幕できた。ヘディングもしっかり競ってくれたし、コンディションは上がっていく一方だと思う」と、太鼓判を押した。めまいの再発に備え、チームでは今も常に薬を携帯しているが、その心配もなさそう。沢の先発復帰は、なでしこジャパンにとっても、これ以上ない朗報となった。【福岡吉央】