強行出場で2戦連続完封勝利だ。J2札幌は8日、札幌・宮の沢で2部練習を行った。5日の松本戦途中に鼻から出血しながらフル出場したDFパウロン(24)は、7日に札幌市内の病院で鼻骨骨折との診断を受けたが、この日は午前午後とも練習に参加。軽快な動きを披露し、13日の大分戦(大分銀行ドーム)出場と勝利に意欲を見せた。

 負傷前と同じように、パウロンは宮の沢のピッチを動きまくった。ボールを奪われれば長い手足を伸ばして取り返す。時折笑顔も見せながら、パスを回す。7日に鼻骨骨折の診断を受けたが「今日の練習では息苦しさもなく、問題がなかった。今までに痛めたことのない場所だが(鼻を)気をつければ次の試合も大丈夫だろう」。前節の完封勝利に貢献した、頼れるセンターバックが強行出場をアピールした。

 ようやくつかんだ定位置を、1試合で手放すわけにはいかない。昨季はシーズン前の熊本合宿で左太ももを負傷し、開幕から5試合連続でベンチを外れた。左膝痛、右手甲の骨折などケガが続き、出場はわずか7試合。今季も2度のベンチ入りはあったが、5試合目まで出番はなかった。毎試合のように「準備はできている」と話したが、声はかからなかった。

 今季初出場初先発となった5日の松本戦でうっぷんを晴らした。高い身体能力と体の大きさで、最後までゴールラインを割らせなかった。試合途中で鼻から出血したが、最後まで走った。鼻骨骨折と診断を受けるほどの重傷だったが、ひるまず松本の攻撃をはね返した。「手や足ではないし、プレーには問題なかった」と何事もなかったかのように言った。

 この日の練習の動きを見届けた財前恵一監督(45)は「動きは大丈夫でしょう」と、太鼓判を押した。次節はJ1から降格した大分が相手。現在13位だが、6位札幌と昇格を争うライバルであることには変わりない。「(患部を守る)フェースガードなどをするつもりはない。次の試合も続けて勝ちたい」とパウロン。今季初の連勝へ-。192センチの壁が大分の前に立ちはだかる。【中島洋尚】