オランダが米国を3-1で破り、2大会ぶりのベスト8進出を決めた。1得点1アシストのDFデーリー・ブリント(32)は、アシスタントコーチを務めるダニー・ブリント(61)の息子。

ゴール後はベンチ前で2人が頭を寄せ合い喜び合う姿にSNSでは反響が広がった。8年前のブラジルでもともに戦った親子鷹が、悲願のW杯制覇を目指す。

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前半終了間際にゴールを決めたブリントは、ベンチへ一目散に走り寄った。待ち受ける父の顔を両手で引き寄せ、頭を合わせて喜びを分かち合った。2人の姿にSNS上では「父ブリントの時代から見ている世代としては本当にエモい」と反響が広がった。

勝利を決める2点目だった。FWデパイのゴールで10分に先制。後半は米国の猛攻を1点でしのぎ、終盤36分にブリントのクロスからDFドゥムフリスがゴールを挙げ完勝。2大会ぶりのベスト8進出を決めた。

W杯での優勝は親子の悲願でもある。オランダの名門アヤックスで黄金時代を築いた父親を追うように、息子のデーリーも下部組織からアヤックスで育った。代表では世界最高のリベロと呼ばれたクーマンの控えに回った父に対し、息子は左サイドバックで活躍。定位置を獲得した14年ブラジル大会3位決定戦ブラジル戦では、今回と同じようにアシスタントコーチを務めた父の前で、代表初ゴールも決めた。この時もチームの2点目だった。

父ダニーはアヤックスの黄金期を支えたレジェンドとしてサッカーファンにはなじみが深い。今回のファンハール監督や、ベンチでその左隣に座るエドガー・ダビッツも当時監督、選手としてそのメンバーだった。ほかにもライカールト、ファンデルサール、セードルフらそうそうたるメンバーが名を連ね一時代を築いていた。

前回ロシア大会の欧州予選は代表監督に昇格した父とともに戦った。しかし結果が出せず、17年3月に父は解任。オランダもW杯出場を逃した。その解任直後、インスタグラムに「父と息子がこのようなトップレベルでともに仕事ができるなんて、互いにとっての夢がかなった。ボクは父を誇りに思う」と投稿した。

32歳で迎えた2度目のW杯。再びコーチと選手として同じ目標へ戦う父子の姿を世界は熱く見守っている。

◆デーリー・ブリント 1990年3月9日、オランダ・アムステルダム生まれ。下部組織から08年に18歳でアヤックスのトップデビュー。14年から18年までマンチェスターUでプレー。18年からは古巣アヤックスでプレー。各年代の代表を経験し、13年からオランダ代表。左サイドバックとして活躍し、14年W杯ブラジル大会では、3位決定戦のブラジル戦で代表初ゴール。180センチ、72キロ。

◆ダニー・ブリント 1961年8月1日生まれ。オランダ、オースト・ソーブルフ出身。アヤックスでは主将でリベロとして欧州CLなど多くのタイトル獲得に貢献。95年トヨタ杯では南米王者グレミオを破り、MVPに輝いた。代表では同じポジションにクーマンがいたため、控えが多かった。99年に引退し、05年にアヤックスの監督に就任。15年からは2年間オランダ代表監督も務めた。現代表アシスタントコーチ。