9日に行われたサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会準決勝を取材中に、米国の著名サッカージャーナリストであるグラント・ウォールさん(48)が亡くなったことが明らかになり、米国のサッカー界に衝撃が走っている。

ウォールさんは先月、米国戦の取材会場で性的少数者(LGBTQ)を象徴する虹色のTシャツを着用していたことで一時拘束され、その後解放されて無事であることをツイートして話題になっていた。

報道によると、試合の終盤に記者席で倒れ、駆け付けた救急隊員がその場で心肺蘇生法を行った後、病院に運ばれたが、死亡が確認されたという。ウォールさんは、倒れる直前まで試合の様子をツイートしていた。死因は分かっていないが、米ウォールストリート・ジャーナル紙は心臓発作を起こしたようだと伝えている。また、英タイムズ氏は、現場に除細動器がなかったと報じた。

ウォールさんは7日に48歳の誕生日を迎えたばかりで、「今晩はW杯の素晴らしいメディア仲間たちと誕生日を祝った」とツイートしていた。数日前から「胸の上部に圧迫感がある」などと体調不良を訴え、現地で診療を受けていたことも明かしていた。気管支炎と診断され、抗生物質を投与されていたとの情報もある。

これまで20年以上にわたってサッカーを取材してきたウォールさんは、米スポーツ・イラストレイテッド誌の記者を長年務め、W杯を11回取材してきたベテラン。2009年にはメジャーリーグサッカー(MLS)に挑戦したイングランド元代表のデビッド・ベッカム氏に関する著書も出版している。「サッカーを自身のライフワークにしていた。彼と彼の素晴らしい文章が我々と共にないことに打ちのめされている」と米サッカー連盟がコメントを発表するなど、米国におけるサッカー人気の確立に貢献してきたウォールさんの突然の死を悼む声が上がっている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)