トランプ米大統領が先日、米国への移民が多い中米、アフリカ諸国を「便所(シットホール)のような国」と呼んだと報じられた。

 同大統領は自身のツイッターで「シットホールという言葉は使っていない」と釈明したようだが、中米やアフリカ諸国がカンカンになっているのは想像がつく。

 筆者は約10年間、大リーグ担当として米国と日本を行ったり来たりしながら取材活動をし、そのうち3年間はニューヨークに居を構え、ヤンキースを追いかけた経験がある。

 その経験から言わせていただくと、他の多くの国と同様に、米国にも良い部分だけでなく悪い部分もたくさんある。特に人種差別については、まだまだ根強く残っていると言わざるを得ない。

 では差別を受けた時にどうすればいいのか? 暴力で対抗してしまったら、新たな暴力を生むだけだと思う。

 しかし自分が差別を受けたと感じたら「それは差別であり、自分はそういう態度をとられるのは嫌だ」ときちんと意思表示することが大事だ。それによって相手も自分が差別をしているということに気づく場合もある。

 オランダ1部AZやプレミアリーグのサンダーランドでもプレーした米国代表FWジョジー・アルティドール(28=トロントFC)が14日、自身のツイッターに1枚の写真をアップした。

 ハイチ系米国人のアルティドールと、ジャマイカ出身の世界最速男ウサイン・ボルト、カリブ海にルーツを持つアイスホッケー選手P・K・スバンが一緒に写った写真だった。

 そこには「夢を追いかける便所から来た3人の仲間」というコメントが添えられていた。

 ヒステリックにトランプ発言を批判するわけではないが、ウイットを効かせて差別的な発言は良くないと意思表示したアルティドール。この写真を見て、ちょっと気分が良くなった。【千葉修宏】