13日に行われた欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦の組み合わせ抽選で、抽選システムをつかさどるソフトウエアに不具合が生じ、再抽選が行われるという前代未聞の珍事があった。

1回目の抽選で、ビリャレアル(スペイン)の相手を決める際、同じ1次リーグF組で決勝T1回戦では対戦できないはずのマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)のくじが引かれるミスが発生。

さらにアトレチコ・マドリード(スペイン)の相手を決める際には、今度はマンチェスターUのくじが入っておらず、代わりに同じ1次リーグB組だったリバプール(イングランド)のくじが混入していたという。

このようなミスはあったものの1回目の抽選は一応最後まで行われ、1度は全カードが決定。だが直後に欧州サッカー連盟(UEFA)が話し合いを行い、抽選全体を無効と判断。最初からやり直される事態となった。

これに激怒したのが、レアル・マドリード(スペイン)のフロレンティーノ・ペレス会長。1回目の抽選でいの一番にベンフィカ(ポルトガル)との対戦が決定。それが再抽選となったことで、メッシ、ネイマール、エムバペの強力3トップを擁するパリ・サンジェルマン(フランス)に相手が“変更”となったのだから怒るのも無理はない。

ベンフィカ関係者およびファンには申し訳ないが、現在ポルトガル1部3位のクラブと優勝候補の一角パリSGを比べたら、どちらと戦う方が楽かは言うまでもない。

しかもペレス会長の「我々の対戦カード(ベンフィカ-Rマドリード)は有効だ」という言い分にも一理ある。1回目の抽選でミスが発生する前に、すでに同カードは決定していた。したがって再抽選を行う判断を下したとしても、その対戦だけは有効として残しても問題はなかったと思う。

RマドリードとUEFAの関係はこのところ悪化の一途をたどっている。今春、ペレス会長の主導でビッグクラブのみ参加する欧州スーパーリーグ構想が発表され、UEFAはこの動きに対して既存の欧州サッカー文化を破壊する愚行だと非難。以来、両者の間の緊張感は高まっている。

今回の再抽選についても、ペレス会長は「ソフトウエアの不具合というのはUEFAのウソだ。ミスは人為的なものだ」と話し、UEFAをウソつき呼ばわり。RマドリードがパリSGとの対戦に勝利し、今度は実力でUEFAに目に物見せることができるのか。注目が集まっている。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)