プレーバック日刊スポーツ! 過去の1月29日付紙面を振り返ります。2007年の1面(東京版)では、デビュー戦でゴールを挙げたカターニャFW森本貴幸でした。

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<セリエA:アタランタ1-1カターニャ>◇28日◇アタランタ

 日本サッカー界の若き至宝が、衝撃の欧州デビューを飾った。カターニャFW森本貴幸(18)が、アウエーのアタランタ戦で後半39分から途中出場。わずか3分後に、ゴール前で右クロスを受けて右足で蹴り込んだ。森本のデビュー戦ゴールで、試合も1−1で引き分けた。18歳8カ月21日の日本人欧州デビュー最年少記録を、自らの得点で祝った。

 ゴールの臭いがする場所は、日本から遠く離れたイタリアでも、すぐに分かった。1点を追う後半42分、森本はMFバイオッコの右クロスに合わせてゴール前へ駆け込んだ。右足トラップでボールを前方に落とし、相手DFのタックルをかわすと、再び守備網が迫る中で迷わず右足を振り抜いた。かかとを腰の位置まで上げ、フルパワーでのシュートをゴールネットに突き刺した。

 リーグ戦初出場から、わずか3分後の初得点。自分自身でも信じられない。2重の喜びをどう表現していいのか分からず、頭を抱えてベンチのマリノ監督のもとへ走った。笑顔とも、感極まって涙ぐんでいるのかとも見える表情。味方に抱きかかえられ、「モ〜リ、モーリ」と祝福するサポーターへ両腕を突き上げた。05年8月のヘラクレスFW平山相太(現東京)に遅れることわずか1分、日本人史上2位のデビュー最速ゴールは、チームを敗戦から救う値千金の一撃だった。

 森本は、15歳だった04年3月13日の磐田戦でJリーグ最年少デビューを飾った。足元の高い技術と抜群の得点感覚で「和製ロナウド」と世間に注目された。だが、その後は伸び悩み、所属元の東京VもJ2に降格。昨年7月にレンタルでカターニャへ移籍した。ユースチームでの出場ばかりの「武者修行」で得点を量産し、マリノ監督がベンチ登録メンバーに抜てき。「ユースでもトップでも、出場したら点を取りたい」と、心の準備はできていた。

 チームがリーグ上位争いを繰り広げる中でのデビュー、そして得点。森本が、自らの足で海外での道を切り開いた。

※記録や年齢などの表記は当時のもの