スイスが2戦合計1-0とし、4大会連続のワールドカップ(W杯)出場を決めた。薄氷を踏む思いでつかんだロシア切符。その勝利の立役者となったのは、ACミラン所属のDFリカルド・ロドリゲス(25)だった。

 アウェーの第1戦(1-0勝ち)、シュートが相手選手の手に当たったとの判定で得たPK。これを決めたのがリカルド・ロドリゲスだったが、このホームの第2戦でも“決定的”な仕事をしてみせた。

 0-0で迎えた後半アディショナルタイム。1点を追いかけパワープレーを仕掛けた北アイルランドは、左からのクロスボールにDFエバンズが打点の高いヘディングシュートを放った。このボールがスイスのゴール枠内へ飛んだが、ゴールライン上、ギリギリのところででリカルド・ロドリゲスが左足でクリアした。

 第1戦で挙げた虎の子の1点を自ら守りきった。この殊勲の男、リカルド・ロドリゲスはスペイン人の父とチリ人の母を持ち、スイス・チューリヒで生まれ育った。ミランのレジェンド、マルディーニに少年時代からあこがれた攻撃的な左サイドバック。19歳でA代表デビューを果たし、ヴォルフスブルクを経て、今季から夢だったミラン入り。母親が1968年生まれということが理由で、ミランでは「68」という異色の番号を背負う。長髪を後ろで束ねたワイルドな風貌もあって、そのアグレッシブな姿勢はひときわ目に付く。

 スイスのペトコビッチ監督は「(終了間際のシーンでは)正しいタイミングで正しいポジションにいた。2試合いいプレーを見せてくれた」と感激した面持ちだった。

 一方の北アイルランドのオニール監督は「もちろんとてもがっかりしている。今日の結果にも、ここで敗退したということにも。そして決定打となったのがファーストレグの疑問の余地の残るPKだったということも」と不満を隠さない。さらに「チャンスは作ったし、今日は我々の方がよいチームだったと思う。ロドリゲスがあのシーンでクリアしたというのはうなされるものがある。我々はもっといい結果を手にするにふさわしかったと思う」と話した。

 来年6月の本大会でも注目を浴びそうなリカルド・ロドリゲス。その新星を擁するスイスはダークホースとなりそうな存在だ。ペトコビッチ監督は「個人的な目標は可能な限りのところへ進むことだ。それは決勝かもしれない。一つ一つに試合に勝てるように準備をしていく。自分たちの力で手にできる最大限のものを狙いに行く。それがベスト8なのか、準決勝なのか、決勝なのか。それは本番になってからだ」と意気込んだ。