ヘタフェのボルダラス監督は、開幕戦以来の先発出場にもかかわらず、決勝点を演出した日本代表MF柴崎岳(26)を絶賛した。

柴崎は左MFで後半24分まで出場し、前半3分に左サイドから中へのランニングからスルーパスに抜け出し、倒れ込みながら右足シュート。目の前に立ちはだかったGKに阻まれたが、こぼれ球をFWモリーナがループシュートで決めて、先制点を演出した形となった。

リーグ戦では開幕戦のレアル・マドリード戦以来、今季2度目の先発で、16節終了時で出場わずか3試合にとどまっている。戦力外に近い立場の柴崎に対して、この日の活躍でボルダラス監督は「長い間、プレーしていなかった選手だったが、チームにしっかりと良いものを貢献してくれて満足している。彼の働きに満足だ」と評価を一変させた。

同監督は柴崎の左サイド起用について「選手が受け入れなければいけない決断だった」と話し、柴崎自身が本職のボランチではなく、左サイドでプレーを受け入れてくれたことを明かした。DFラインの裏への飛び出しは柴崎にとって得意な形ではなかったのかもしれない。だが、不慣れなポジションで決勝点を導いた柴崎の動きに「いい仕事をしてくれた。よくなってきたし、いい役割を果たしてくれた」と高評価を与えた。

試合後にボルダラス監督は「ガクはいい仕事をしているし、チームの力になれる。正直な選手であり、持てる力全てを出している」と、この試合でのパフォーマンスについて話したことを踏まえ「今を考えないといけない」とコメント。これまでの評価を覆したことを示唆した。これから戦力として計算できる選手となった柴崎だが、1月にはアジア杯としてチームを離脱する。同監督は「痛手だよ。監督としては長い間、選手がチームを離れることはいいことではない」と長期離脱を悔やんだ。

スペインに渡って3シーズン目の柴崎。過去には現地に適応できないと言われ、17年にはバルセロナ戦でゴールを決めた直後に左足中足骨の骨折で手術で長期離脱をするなど、苦しんでいた。だが、この試合でゴール後に、喜ぶチーム輪の中に入って笑顔を見せた。今後に向けて明るい兆しが見える試合となった。

(山本孔一通信員)