ドイツ杯2回戦で、2部ザンクトパウリのMF宮市亮(26)は、ホームでMF長谷部誠とMF鎌田大地が所属するフランクフルト戦を、今季初めて出番なしで終えた。チームは1-2で敗れて敗退となった。

27日のハイデンハイム戦で後半20分から出場したが、初めてベンチスタートとなり、フランクフルト戦では出番なしとなったが「先々週に打撲して、この前ちょっと出て、明後日も試合があるんで、監督はローテーションしていくという話をミーティングで言っていた。週末に出られたらなと思います」と経緯を明かした。

右ひざの前十字靱帯(じんたい)を断裂など度重なる大けがから昨季、復活を遂げた宮市は今季も開幕から公式戦11試合連続でフル出場するなど、レギュラーとして試合に出続けている。「サッカー選手になってはじめて充実してるかなというくらい、試合にもコンスタントに出られてます」と、満足できるシーズンを過ごしている。

昨季はチームの公式戦7試合目で初出場を果たすと、同35試合中26試合に出場し、5得点を記録。完全復活への足がかりをつかんだ。今季について「結果というものを、どうしても。絶対に大事」と話す。目標の数字として得点とアシストともに「4~8」を監督から期待されているようだ。本職ではないサイドバックとして起用されることもあるが、得点&アシストで「そこを目指したい」とはっきりと言った。

現在、公式戦12試合で1得点2アシスト。目標を達成するにはまず、このままのペースで試合に出場する必要がありそうだ。「日々、健康でいることに感謝して、そこをしっかり日常的にやっていければ、結果はあとからついてくるかなと思う。しっかりケアなりをやっていきたいと思います」。細心の注意を払ってシーズンを乗り切りたいととした。

同じ2部リーグでプレーするMF遠藤航が日本代表でもプレーしている。日本代表復帰について聞かれると「選ばれるなら、今すぐにでも行きたいですけど(笑い)」と率直な気持ちを吐露。だが「僕は、欲が出すぎると空回りしてしまうタイプ。もちろん代表は行きたいですけど、あまり先を見過ぎず、あまり欲を出し過ぎず、しっかり毎日、自分ができることをやっていく」と冷静に話した。  17-18年のシーズン開幕前には右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを負いながら、クラブ側は「リョウが1人ではないことを示したい」として契約延長してくれた。今年3月には21年まで、さらに延長。「このままじゃ終われないというのもありました。ファンや家族もそうでしたし、歩けない状態になってもまだ信じてくれる人がいた。『まだ、お前はできるぞ』と言ってくれる人がたくさんいたんで。そういう人たちのためにもしっかりプレーして、恩返しじゃないですけど、僕ができることをしっかりやっていきたいですね」。苦しい時に支えてくれた人への感謝を忘れてはいない。

「サッカーができる喜びというのを身にしみて感じている」。ザンクトパウリ在籍5シーズン目にして、多くの思いを背負った宮市が、最高のスタートを切っている。

(中野吉之伴通信員)