新型コロナウイルスの影響で延期が相次いでいたサッカーの代表戦が、ようやく戻ってきた。欧州ネーションズリーグが3日、ドイツのシュツットガルトなどで開幕し、注目のドイツ-スペインは1-1で引き分けた。スペインはバルセロナ所属の新星FWアンス・ファティが、17歳308日で代表デビューを果たした。同国史上歴代2位の年少記録となった。

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コロナ禍で約10カ月ぶりとなった国際試合、無観客試合のピッチに17歳のファティが立った。後半開始時にヘスス・ナバスと交代してピッチに入った。17歳308日。1936年に17歳284日の若さでデビューしたアンヘル・スビエタに次ぐスペイン代表歴代2位。歴史的な一歩だった。

4-3-3の左ウイングでプレー。最初は初代表による緊張や連係不足を感じられたが、ボールタッチ数の増加とともに持ち味を発揮し始めた。積極的にドリブルを仕掛ける場面もあり、後半ロスタイムには右サイドのクロスからヘディングシュートを記録した。その際、セルヒオラモスのファウルで取り消しとなった。ただ、その勢いがチームに乗り移り、試合終了間際にスペインはDFガヤのゴールで追いついた。

ファティは試合後、ツイッターで「フル代表デビューを果たせてとてもうれしいよ。一生忘れられない日になるなるだろう。僕がここまで到達するのをサポートしてくれた皆に感謝している」とつぶやいた。西アフリカのギニアビサウ出身。10歳でバルセロナの下部組織に入団し、1歳上の久保建英と一緒にプレー。エンリケ監督は「ほかとは違う特別な選手であり、気を配る必要がある。非常に成熟している青年で、重要な存在になれることを証明してきたし、私はそうなれると確信している」と話した。

スペイン代表始動からちょうど100年で、史上800番目のデビュー選手にもなった。代表最年少得点記録は18歳344日(フアン・エラスキン)。6日にマドリードで行われるウクライナ戦で、ファティが新たな歴史に挑む。(高橋智行通信員)

◆アンス・ファティ 2002年10月31日生まれ。ギニアビサウ出身。7歳頃にスペインへ渡りセビリアの下部組織を経てバルセロナの下部組織に入団。久保建英の1歳下で一緒にプレー。昨年8月25日のベティス戦で、16歳298日でバルセロナ史上2番目の若さでデビュー。178センチ。