ビリャレアル入団後、出場時間の少ない日本代表MF久保建英(19)について、レアル・マドリードが現時点で今冬の期限付き移籍の契約破棄を検討していない一方、その可能性を完全に除外しているわけではないと、スペイン紙アスが12日に報じている。

今夏、スペイン内外から約30のオファーが届いた中、久保とRマドリードが優先したのはスポーツ面のプロジェクトであり、来季、Rマドリードのメンバーに加わる前のステップとして、約40試合の先発出場が保証されるチームを探していたという。

バイエルン・ミュンヘンの期限付き移籍の手数料700万ユーロ(約8億7500万円)超えのオファーは非常に魅力的なものだったが、出場時間が少なくなるリスクと、欧州チャンピオンズリーグ(CL)で対戦する可能性を考慮し断ったとのこと。

そして現在、Rマドリードは来季復帰に向けた久保のプロセスがビリャレアルでうまくいっていないことに不満を感じており、久保の獲得を強く希望したにもかかわらず、出場時間の少ないウナイ・エメリ監督の起用法に理解を示していないという。実際、久保はリーグ開幕からの5試合全て途中出場で、合計でわずか54分間しかプレーしていない。

また、エメリ監督はアス紙のインタビューで久保について何度も質問されることに飽き飽きしているかを問われ、「久保は素晴らしい青年だ。成長することを望み、そうしたいという意欲を持っている。彼は最高レベルに達する最初の日本人になるという挑戦を抱えていることを意識している。そしてそうなることを願い、プロセスを速めることを望む人々がたくさんいる。しかしその加速は良いものではない。彼は全てのオプションやポジションで競うことができるように適応し成長する必要がある」と説明した。

そして「彼は3つのポジションでプレーできる。7番(右サイドハーフ)がベストのポジションだが、あそこには激しい競争がある。私はメディアの騒がしさを理解しているし、タケはピッチ外でスターだが、ピッチ内でもそうなる必要がある。できる限りベストの形でそれを行い、その目標が達成できるようにケアすることが我々の義務だ」とコメントしている。

アス紙によると、現時点でRマドリードはビリャレアルとの期限付き移籍の契約を1月に破棄することを考えていないものの、その可能性を完全に除外しているわけではないとのこと。しかし、もし契約を破棄する場合、期限付き移籍の手数料として250万ユーロ(約3億1250万円)をビリャレアルから受け取っているため、交渉が必要となるという。

現在、久保の出場時間は非常に少ないが、欧州リーグが来週に開幕するため、出番が増えると推測されている。

(高橋智行通信員)