ブライトンの日本代表MF三笘薫(25)が、前回王者リバプールから芸術的な決勝点を奪った。
後半ロスタイム、浮き球で相手選手をかわしながら右足アウトサイドで打ち抜いた。21日のプレミアリーグ第21節レスター戦のミドルシュートに続く、公式戦2試合連発で今季通算6ゴール目。サッカーの母国イングランドで「三笘無双」が止まらない。
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三笘の神業がイングランド南部の港町、ブライトンの寒空を熱くした。
1-1で迎えた後半ロスタイム、クロスボールが渡った。右足アウトサイドのファーストタッチで右へ持ち出し、シュートフェイント。相手を誘うと同時にツータッチ目、右足でチョンと浮かせて左へ切り返す。そしてスリータッチ目、右足アウトサイドで浮き球をボレーシュート。ブラジル代表の名手、アリソンの左側を抜いたボールはゴールネットに突き刺さった。
この一連のプレーはわずか1・5秒。柔らかなボールタッチに瞬時の判断力とゴールセンス。「無双ドリブラー」と呼ばれるが、ドリブラーだけに終わらないフットボーラーとしての幅が、この一瞬に凝縮されていた。
試合後のインタビューには英語で応答した。
「最高の瞬間です。このゴールのおかげでチームが勝ち上がれたので、とてもうれしいです」
「あなたのスキルが詰まったゴールでした」と水を向けられると、「ファーストタッチができて、キックモーションでうまくかわせたし、自分でも信じられないゴールです」。
21日のレスター戦では鮮やかなミドルシュートを決め、1月のリーグ月間最優秀ゴール候補にノミネートされた。2週連続で週間ベスト11にも選出され、今やサッカーの母国で最も勢いのある選手の1人だ。元イングランド代表のシアラー氏が「試合ごとに影響力を増している」と言えば、オーウェン氏も「最も高い契約を結ぶべき価値がある」とツイッターに投稿。ビッグクラブが獲得に乗り出すのは時間の問題のようだ。
「三笘の1ミリ」で注目されたW杯を終え、一回りも二回りも大きくなった。3年後の次回26年W杯へ、森保監督が新たに求めているのは「個の強さ」。世界的スターが集うイングランドを舞台に「今はどんな相手が来ても戦える自信があります」と言い切る。
三笘無双が、日本サッカーの新たなアイコンとなりそうだ。