3冠の目標を掲げる青学大が2時間9分5秒で12年大会以来、2度目の優勝を飾った。3区で久保田和真(4年)が区間新でトップに立ち、駒大との競り合いが続いたが、最終6区で一色恭志(4年)がロングスパートに成功した。「3代目・山の神」こと神野大地主将(4年)がケガで欠場も、層の厚さを見せつけた。原晋監督(48)は「スタートラインに立てば勝つ」と、来月の全日本、来年1月の箱根を含めて、青学大初の3冠を宣言した。大会は昨年は台風の影響で中止となり、2年ぶりの開催だった。

 3冠への1歩を刻んだ。最終6区。青学大の一色は残り5キロからロングスパートをかけた。右手の人さし指を掲げてゴールする。「走りながら最後のポーズを考えていた。3冠への1冠と優勝の意味を込めた」。今年の箱根を初制覇した貫禄をみせた。

 アンカー一色は学生トップレベルの安定感がある。前半でトップに離されないことが優勝への条件だった。駒大に24秒差の2位で迎えた3区。「神野がいなくて負けたと言われるのはしゃくだから」と振り返った久保田が徐々に差を縮め、残り180メートルで逆転し、勝利を決定づけた。

 1月の箱根初優勝の原動力となった神野は右すねの疲労骨折の影響で欠場。大会2日前の10日の夜、6人の出場選手に手書きの手紙を渡した。昨年2月に右脚腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)を手術した久保田には「ケガして戻ってきたのを見てるから、オレも頑張れる」と書いた。何カ所も修正テープが貼られた手紙に、久保田も心を揺さぶられ「負けられない」との思いを強くした。

 神野、久保田、1区を走った小椋ら4年生は、1年時の3年前から「俺たちが4年になったら3冠を取ろう」と目標を掲げてきた。ほかの駅伝より距離が半分以下で、1つのミスも許されない鬼門を制して、まず1冠を勝ち取った。

 来月の全日本からは神野も戻る。原監督は「不安はノロウイルス、手足口病など感染症だけ。神野が帰ってくればもっと強くなる。スタートラインに立てば勝つ」と堂々と3冠を宣言した。3冠となれば10年度の早大以来、史上4校目。明るく前向きで元気をモットーにする青学大が昨年度に続き、大学駅伝界を席巻しそうだ。【田口潤】